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「イヤ、行かない」母即答、施設通所初日の戦い

解決策はあっけないほど簡単な手だった…

2017年4月20日(木)

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(前回→「兄貴、ぜんぶ自分で抱え込んじゃダメだ!」」)

 公的介護保険制度で「要介護1」という認定を受けた母は、様々な公的なサービスを利用することが可能になった。まずは補助金を申請して、玄関と風呂場に手すりをつけ、トイレに身体介助器具を入れた。

 次はサービスの利用だ。
 さあ、どのようなサービスを利用することが母にとって一番良いのだろうか。

ヘルパー、デイケア、デイサービス、ショートステイ

 代表的なサービスは4種類ある。ヘルパー、デイケア、デイサービス、ショートステイだ。

 前々回(こちら)に書いた通り、これらのサービスは点数制だ。介護の度合に応じて、利用者には毎月ごとに使用可能な点数が割り振られる。それぞれのサービスは利用にあたって「何点必要」ということが決まっている。どう使うのが一番いいのか、考えなしに使うわけにはいかない。

 そこで、ケアマネージャーという専門職が、介護を受ける本人やその家族と相談し、毎月どのサービスをどれだけ利用するかという介護計画を作成し、点数を配分していくのである。その大きな使い道が、ヘルパー、デイケア、デイサービス、ショートステイということだ。

 ヘルパーは家に来て貰って家事などの手伝いをしてくれる人のこと。古い言葉でいえば、お手伝いさんだが、その仕事の内容は介護関連にかなり厳密に規定されていて、たとえば「散歩に付き添って下さい」というお願いはできない。その場合は「公費助成なしの全額私費」で、来て貰うことになる。

 デイケアは、デイサービスと混同しやすい(というか、連載を開始した後でさえ私も混同していた。大変申し訳ない)。デイケアはリハビリが目的の施設で、医師が指導を行い、そのための資格を持つ理学療法士、言語聴覚士などがいて、専用の設備も備えている。

 デイサービスというのは「デイ(昼間)」という文字通り、昼間に通って過ごす「昼間だけの老人ホーム」といった施設だ。朝、自動車で迎えに来て、夕方も送ってきてくれる。民間が運営しており、それぞれ特色を打ち出して競っている。「軽い体操をやって体を動かします」というところもあるし、「お習字、工作などで手を動かして、頭の衰えを防ぎます」というところもある。リハビリのためのサービス(機能訓練)もあるが、デイケアのように主目的ではない、ということだ(ただしややこしいのだが、実際には「リハビリが中心のデイサービス」という施設も存在する)。

 ショートステイというのは老人専用の宿泊施設だ。短期滞在の老人ホームといえばいいだろうか。数日から数週間までの宿泊が可能で、「どうしても老親を置いて長期間出かけなくてはならない」という時に、1泊5000円前後で利用できる。

 これらの制度や施設は、思い立ったらすぐに利用可能…というわけにはいかない。ヘルパーさんの人数は限りがあるし、施設にはそれぞれ定員がある。昨今の老人人口の増加により、需要過多・供給不足気味で、通常は「空きが出るまで待って下さい」ということになる。

戦線維持の基本は体力だ!

 私の母の場合は、「まずは体力の低下を防がねばならない」という点で兄弟の意見が一致した。

本連載、ついに単行本化。
タイトルは『母さん、ごめん』です。

 この連載「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』として単行本になりました。

 老いていく親を気遣いつつ、日々の生活に取り紛れてしまい、それでもどこかで心配している方は、いわゆる介護のハウツー本を読む気にはなりにくいし、読んでもどこかリアリティがなくて、なかなか頭に入らないと思います。

 ノンフィクションの手法でペーソスを交えて書かれたこの本は、ビジネスパーソンが「いざ介護」となったときにどう体制を構築するかを学ぶための、読みやすさと実用性を併せ持っています。

 そして、まとめて最後まで読むと、この本が連載から大きく改題された理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。単なる介護のハウツーを語った本ではない、という実感があったからこそ、ややセンチな題となりました。

 どうぞお手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

コメント15件コメント/レビュー

先の方が書かれている、
>経験のない人にはこの微妙なズレをわかってもらえず辛いところです。
というのは、もちろん分かりませんが、覚えておこうと思います。ありがとうございます。(2017/04/24 13:25)

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

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「「イヤ、行かない」母即答、施設通所初日の戦い」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

先の方が書かれている、
>経験のない人にはこの微妙なズレをわかってもらえず辛いところです。
というのは、もちろん分かりませんが、覚えておこうと思います。ありがとうございます。(2017/04/24 13:25)

父が末期がん&アルツハイマー型認知症です。自営のため母から泣きつかれ、介護離職の上事業承継しました。
要介護3の認定を受けデイサービスに通わせていましたが、行く先々で喧嘩して3件目であきらめました。その後、肺炎を併発し抗がん剤を止めたところ症状が劇的に改善、現在は事務所までのんびり徒歩通勤し、勝手気ままに徒歩で退社しています。そのうち徘徊から行方不明になるリスクはありますが、それもまた人生と受け入れられるようになりました。こんな生活が早3年、自分の身の処し方も考えられるようになりました。(2017/04/23 20:03)

私も男で、妻と別居して要支援2の母の面倒を見るために40年数年ぶりに故郷に居を移した。母の場合、ボケてはいない様だが私が戻る数年前まで通っていたデイケアは止めて自宅で一人暮らしをしていた。市内には婿に行った兄が住んでいるので買い物や医者通い、マッサージの送り迎えなどは兄が面倒を見ていた。医者は兄も1週間置きに通っているので「ついで」に連れて行く感じで、私が戻った今も二人で一緒に行っている。それ以外は全て私が引き取り、かつ家の掃除や洗濯、料理まで全て私がやっている。料理や洗濯は妻と暮らしている間は年数回程度、「手伝う」感覚でやっていた程度で、この日常生活の急変は当初は慣れない所為もあって楽しんでいた部分もあったが、2年を過ぎた頃からバカバカしくなってきた。妻と別居してまで面倒を見ている私に対して心のこもった感謝をされた事がないのだ。ワザとらしく「ありがとうございました」の「た!」を大きな声で言って見たり、私にとっては上から目線の「ごちそうさん!」と言ったりでストレスに感じ始めた。高校卒業から東京に出て母と別居しているので、既に妻との生活の方が倍以上の長さになっていて、全く別の人格であるという理解が出来ていない。妻は、私が海外に単身赴任していた時に母に法事で呼びつけられて、家の「嫁」としてあれこれ命令された事を「虐められた」と感じ、それ以降実家への里帰りは私が一人で来る様になってしまった過去があり、母との同居はありえなかったのだ。母は今でも戦前の結婚生活で如何に舅に顎でこき使われたか、小姑に利用されたかを何十回も私に繰り返し話した。それほどの仕打ちを受けたのだから、その半分でも嫁に対してする事は当然の権利、というか、それが日本の文化なのだと思い込んでいるフシがある。そんなに封建的なのだったら、「老いては子に従う」を実践して欲しかったが、一人暮らしが長かった事で我儘になってしまった様だ。私は母が社会性を失っていると感じ、ケアマネージャーに相談してデイケアセンターに通わせることにした。要支援2だと週2日行けるらしいが、母は頑として受け入れず週1日で始め、現在に至っている。生活に関わる費用では、母は2ヶ月毎に40数万円受給しているらしいが、私には5万円を渡して固定資産税や光熱費自治会費や食費、その他買い物の費用も残りは私の財布から出している。(2017/04/22 09:51)

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川野 幸夫 ヤオコー会長