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「ん? ひょっとして認知症?」と思ったら

体験から学んだ「介護する側が楽をする」重要さ

2017年4月27日(木)

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(前回→「『イヤ、行かない』母即答、施設通所初日の戦い」)

 母が公的介護保険制度を利用し始めるところまで書いたので、今回は「家族に認知症の兆候が見えたらどのように対応するべきなのか」をまとめておこう。

 もちろん、認知症にならずに人生を全うできれば、それが一番良いに決まっている。世には「認知症にならない方法」に類する言説もあふれている。

 が、実際に母を介護した上で判断すると、「これさえやっておけば認知症にならない」という方法はない。「これを飲んでおけば大丈夫」「これをやっておけば大丈夫」みたいな“魔法の杖”は存在しない。

 ただし「こういう生活をすれば、認知症になる確率は減ることが統計的に分かっている」ことはある。ごく簡単に要約すると「快食・快眠・快便」だ。

 偏らない食事に十分な質の良い睡眠、そして規則正しい生活習慣である。

 それらは地味でずっと継続することが必要で、しかも実行したからといって認知症に絶対ならないというわけではない。発症する確率が下がる、ということだ。

 アルツハイマー病を発症する前の母の生活を思い出すと、危険因子は「比較的宵っ張りで睡眠時間が短かった」ことぐらいだ。運動も食事もきちんとしていたし、合唱や語学、水泳などによる周囲との交流もあって、周囲から孤立した孤独老人ではなかった。

 つまり「だれでも認知症を発症しうる」という前提に基づいて、事前にできる準備をしておく必要があるのだ。

発症前も、発症後も、まずは地域包括支援センター

 老親を抱える身で、まずできることは何か。

 まず考えられることは「認知症では」と疑う事態になる前から、地域包括支援センターと連絡をとって「こういう老人がいる。今は元気だが年齢的にいつなにがあってもおかしくないから、なにかあった場合にはどうすればいいか」と相談することだろう。

 地域包括支援センターには、公的介護保険制度に関連する様々な情報が集まっている。事前に情報を収集しておいて損になることはない。実際に「その日」が来たときに、スムーズに公的介護支援を受けられるはずだ。

 これは、本人が本格的な要介護状態になる前から、家に公的な介護が入ることに慣れさせておくことにつながる。このことは非常に重要だ。

 大抵の老人は初めのうちは、公的介護に「御世話になる」と感じるせいか、拒否感を持つという。母と私の場合も、早期に公的介護保険を導入することに失敗した結果は、かなり後まで影響した。

 「公的介護保険を利用する」ということは、ケアマネージャーやヘルパー、ベッドなどのレンタル業者など多数の人が家に入ってきて、生活をサポートするということである。それを介護される側の母は、「突然知らない人がいっぱい家にやってきて、自分の生活に干渉する」と受け取った。

本連載、ついに単行本化。
タイトルは『母さん、ごめん』です。

 この連載「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』として単行本になりました。

 老いていく親を気遣いつつ、日々の生活に取り紛れてしまい、それでもどこかで心配している方は、いわゆる介護のハウツー本を読む気にはなりにくいし、読んでもどこかリアリティがなくて、なかなか頭に入らないと思います。

 ノンフィクションの手法でペーソスを交えて書かれたこの本は、ビジネスパーソンが「いざ介護」となったときにどう体制を構築するかを学ぶための、読みやすさと実用性を併せ持っています。

 そして、まとめて最後まで読むと、この本が連載から大きく改題された理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。単なる介護のハウツーを語った本ではない、という実感があったからこそ、ややセンチな題となりました。

 どうぞお手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

コメント15件コメント/レビュー

わが家は、まさに現在進行中です。
異常が激しくなって半月程度で精神科を受診、翌週には入院となりました。
幸い、その病院は地域包括センターの拠点となっているところで、デイケア(医療保険を使えるところ)も併設。先日退院してからは、そこに週6日通っています。
発病後、知り合いや職場の同僚に事情を話すと、「介護認定申請を急いだ方がよい」などアドバイスをいただき、すぐに動きました。要介護3の認定をいただきました。
現在、ケアマネージャーさんと相談しながら、家に手すりをつけたり、ショートステイの可能な施設を見学したりしながら、初めての介護を乗り切りつつあります。
記事にありますように、家族だけで世話をするのは無理があります。地域のさまざまな施設、人材にお世話になることの大切さをしみじみと感じております。
最初に精神科を受診したことがよい選択だったと、つくづく感じております。(2017/06/23 23:53)

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

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「「ん? ひょっとして認知症?」と思ったら」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

わが家は、まさに現在進行中です。
異常が激しくなって半月程度で精神科を受診、翌週には入院となりました。
幸い、その病院は地域包括センターの拠点となっているところで、デイケア(医療保険を使えるところ)も併設。先日退院してからは、そこに週6日通っています。
発病後、知り合いや職場の同僚に事情を話すと、「介護認定申請を急いだ方がよい」などアドバイスをいただき、すぐに動きました。要介護3の認定をいただきました。
現在、ケアマネージャーさんと相談しながら、家に手すりをつけたり、ショートステイの可能な施設を見学したりしながら、初めての介護を乗り切りつつあります。
記事にありますように、家族だけで世話をするのは無理があります。地域のさまざまな施設、人材にお世話になることの大切さをしみじみと感じております。
最初に精神科を受診したことがよい選択だったと、つくづく感じております。(2017/06/23 23:53)

「地域包括支援センター」のキーワードをこの記事で紹介してくださり、良かったと思います。なにか起こる前から、実際に家族も本人も困る前からコンタクトして行政に把握してもらう、というのをもっと周知してもらいたいと思います。まさに私の実家の両親がこれで、友人から「地域包括支援センター」のキーワードを聞いていたので、本当に助かりました。とはいえ、うちも実際に相談したのは、幸い大事なかったですが、夜間に救急車出動してもらって入院となった時でした。「なにか起こったり困る前から連絡をとって置くと良い」「こういう老人がいる。今は元気だが年齢と状況はこう」という事を把握してもらって、なにかあった場合にはどうすればいいか、の時に相談しやすくするのがいいと、だいぶ遅れて利用した友人に言われてました。
まだ健康で働いていても、地域包括支援センターの方に把握してもらって、使えるサービスも紹介してもらえるし、ホントに事前に連絡して損はないです。自治体との協力で指定病院と連絡とれるようになっていて、めんどくさい書類手続きも運びも手伝ってくださいます。(わが自治体の場合)
信頼関係を築くのはとても時間かかるし難しいので、事前に行政の担当者の方と信頼関係を作るのは重要です。そして彼らはその仕事のプロなので、寄り添って相談に載ってくれて、家族がいらいらしがちな年寄りの話を聞いてくれて、間に立ってくれるのがうまい。子供には言わない隠している「家の使い勝手のちょっとした困ったこと=あちこちの故障」もうまく相談にのって聞き出すなど、間に入ってサポートしてくれる。
両親はだ働いているので「まだ大丈夫、必要ない」と「御世話になる」=相談することを拒否してましたが、今ではすっかり慣れ、うまく利用させていただいており、助かってます。(2017/05/01 19:41)

フグですか。
私も食べさせてあげられなかったです。今さら遅いですね。
COLを落とさないように頑張ります。(2017/04/27 21:45)

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