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認知症になっても、母のきっぷは変わらず

介護のための家の改装、どこまでやるべき?

2017年6月22日(木)

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注:写真はイメージです。著者の家ではありません

 母と私の住む家は、1975年に亡父が建てたものだ。築40年超。

 建築基準法は1981年に大改正されて、それ以降の新築の建造物は厳しい耐震基準をクリアしなくてはならなくなった。我が家はそれ以前の“古い”建物である。

 とはいえ、建物自体はかなりしっかりとしている。建築の頃は盛んに、「第二次関東大震災が来る」と言われていたこともあって、父が建築を任せた地元の工務店にうるさいぐらいに「がっちり作れ」と要求し、毎週のように工事現場を見回ったからだ。

 2015年7月、肩脱臼をきっかけに母の生活の拠点を、2階の自室から、1階の応接室に降ろした。その夏を過ごす中で、認知症老人が築40年の古い家で生活することの問題点が見えてきた。

古い家は断熱性が悪い

 最初に発覚した問題は、断熱が悪いということだった。

 介護用ベッドを置いた応接間は、夏は暑く、冬は寒い。夏はエアコンを効かせていても汗をかきそうだし、冬になると、床からじんわりと寒気が上がってくる。

 応接間に部屋専用のエアコンはなく、隣のリビングルームに設置してあるものを2部屋兼用で使う。もともと応接間は使っていなかったので、エアコンを設置しなかったのだ。母はエアコン嫌いで、あまり冷房を効かさないほうだったので、2部屋をひとつのエアコンで空調しても大丈夫かと思ったが、やはり夏の昼ともなると、応接間がじわじわと暑くなる。

 断熱が悪い理由もはっきりしていた。かつて父が応接間を書斎として使い出した時、掘りごたつを作り込んだのである。いつも父はその掘りごたつの周囲に山ほど資料を積み上げて、原稿の執筆をしていた(私の父は新聞記者から、農業経済の研究者へと転身した経歴の持ち主であった)。父の死後、掘りごたつは使うことなく、ずっと放置されたままになっていた。

 掘りごたつは床材に穴をあけてこたつのユニットを取り付けてあるだけだ。床下の地面(建築基準法改正以前の建物なので、基礎は全面コンクリ張りではなく、床下は直接地面である)との間には、こたつユニットの薄い壁面があるだけで、断熱は皆無といってよい。

 実は、母が認知症を発症する数年前、家の断熱性を上げる改装を行っており、リビングは断熱施工済みだった。が、応接間は「使っていないから」という理由で、施工していなかったのだ。

本連載、ついに単行本化。
タイトルは『母さん、ごめん』です。

 この連載「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』として単行本になりました。

 老いていく親を気遣いつつ、日々の生活に取り紛れてしまい、それでもどこかで心配している方は、いわゆる介護のハウツー本を読む気にはなりにくいし、読んでもどこかリアリティがなくて、なかなか頭に入らないと思います。

 ノンフィクションの手法でペーソスを交えて書かれたこの本は、ビジネスパーソンが「いざ介護」となったときにどう体制を構築するかを学ぶための、読みやすさと実用性を併せ持っています。

 そして、まとめて最後まで読むと、この本が連載から大きく改題された理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。単なる介護のハウツーを語った本ではない、という実感があったからこそ、ややセンチな題となりました。

 どうぞお手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

コメント15

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

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「認知症になっても、母のきっぷは変わらず」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師