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「予防医学のパラドックス」が教える認知症対策

振りかぶって考える、この国の未来に必要なもの

2017年8月4日(金)

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 前回書いた通り、私の2年半の介護経験は、「サンプル数1」に過ぎない。

 世間にはもっと長く、それこそ10年以上介護の負担に耐えている人もいるわけで、この体験のみで介護に関する一般的な考察ができるとは思っていない。

 ただし、それでも必死になって情報を集め、検討し、目の前の母の状態と比較し、我が身を省みることで見えてくるものもある。今回は、「老人介護と日本の未来」と、思いきり大きく振りかぶってみることにする。

「社会を維持する」大目標の中での認知症対策

我が国の年齢別人口構成図(2016年10月1日現在:総務省統計局資料より)

 まずこの年齢別人口構成図から始める。

 高齢層が増えていて、1945年から数年間に生まれた団塊世代が70歳以上になりつつある。その一方で若年層は減る一方だ。人口動態は、かなり正確に将来を予測出来るものなので、こうなることは1980年代からもう分かっていた。その時点なら抜本的対策を打って出生率を増加させるという解決策もあり得た。例えばフランスは、それをやった。徹底して子供を産む女性を社会的に優遇したのである。2014年時点でフランスの出生率は1.99。つまり、女性一人が生涯で平均して1.99人の子供を産む。しかし、日本はそれをしなかった。日本の出生率は2014年時点で1.42だ。

 今すぐにフランス並みの女性優遇策をとったとしても、この高齢化をひっくり返すには非常に長い時間がかかる。そもそも子供を産む適齢期女性の人口が減り始めてしまっているからだ。しかも現政権もまた、徹底した対策をとろうとはしていない。

 従って、この人口構成を前提に、これからのことを考えていくことになる。増える高齢者、減る若年層――この状況で、今までと同じように社会を回すつもりなら、できることはひとつだけ。高齢者層が一層働くということだ。

本連載、ついに単行本化。
故郷の親御さんに会う前に、ぜひお読み下さい。

 お待たせいたしました。ご愛読いただいている「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』として単行本になりました。

 非常に実践的(なんせ、著者自身のPDCAの塊ですから)、かつ、ノンフィクションならではの迫力で一気に読める本です。担当編集者の私自身もそうですが、老いていく親を気遣いつつ、日々の生活に取り紛れてしまい、それでもどこかで心配している方は多いと思います。そういう方は、「いざというとき」を恐れつつ、松浦さんと同じように事態を直視するのがイヤなので、介護のハウツー本を読む気にはなりにくいし、もし読んでもリアリティがなくて、「あ、そういうことなのか」と腑に落ちるのは、なかなか難しい。

 その点、この本は、老いた親を持つビジネスパーソンが、いざ介護となったときにどう態勢を構築するかを学ぶための、リーダビリティと実用性を併せ持っていると思います。実際、この本を校了してから、私、田舎に帰省して、さっそく超活用してしまいました。「地域包括支援センター」にも行きました!

 そして、まとめて最後まで読むと、この本が原題とは大きく改題された理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。単なる介護のハウツーを語った本ではない、という実感があったからこそ、ややセンチな題となりました。

 どうぞお手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

---------読者の皆様からのコメント(その2)---------

●壮絶です!淡々とした感情に訴えない文章に凄味を感じます。

●両親には「何かしてやりたい」と思うのがヒトの真心だろう。しかし,ギリギリ追い詰められた状態で,その良心,真心が削られていく。この記事は本当に身につまされる。そして頭が下がる。

●明日は我が身と毎週身が引き締まる思いで読んでいます。包み隠さず教えていただけることで、自分と親の今後を考えるためのきっかけになっています。本当にありがとうございます。

●「ぜひ読むべき」のさらに上のランク、「周りの人を捕まえて片っ端から読ませるべき」に投票したいコラムでした。

●全然、敗戦じゃないです。たとえ敗戦であっても、これを読まれた方々が勝戦すれば、勝戦です。

●ひとつひとつのエピソードに筆者の方の 書く勇気 を感じます。自分の過去と文字に向き合う姿が目に浮かぶようで、感動します。背筋が伸びるようです。

●ん?どこかで拝見したことのあるお名前だな、と思ったら、宇宙や防衛に関する的確な記事を書かれている”あの松浦さん”と知って驚いています。

●親の介護という現実が誰にでも起こり得るものと実感すると同時に、過去の記事を読み返して懸命に客観視点を保ちつつ実体験をさらけ出すことへの葛藤も透けて見え、その姿勢に自分の未来を重ね合わせて泣けてきました。

●毎回大変興味深く拝見しています。優しさに包まれていながらも、現実を(できるだけ)冷静に書こうとされているのは、科学ジャーナリストのご経験からでしょうか。

●苦悩に満ちながらもどこかコミカルな著者の筆致には、長年生活を共にしたお母様に対する深い愛情を感じる。いわば、著者は「介護」が現実のものとなっている「人生の先輩」であり、きれいごとではない現実の「敗戦記」は、明日の私たち自身かもしれないのである。

●本日の記事はお母様も愛した料理ができなくなるという、非常に悲しい現実と、それでもこうした現実に力強く対処しようとする著者の奮闘記だ。私はこの記事を、まさに「介護なんて自分と関係ない」と思っている人にこそ読んでほしいと思う。

(連載にいただいたコメントから引用させていただきました。ありがとうございます)

コメント15

「介護生活敗戦記」のバックナンバー

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「「予防医学のパラドックス」が教える認知症対策」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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貝沼 由久 ミネベアミツミ社長