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「母の足の形の変化」にまるで気づかなかった私

番外編03:手術が怖いと医者にかからない母をどうしよう

2017年8月25日(金)

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(前回はこちらから)

 松浦晋也さんの「介護生活敗戦記」と、単行本『母さん、ごめん。』の編集を担当したYです。この仕事を通して、自分も一人暮らしの80歳の母がN市に独り暮らしをしているにもかかわらず、いつも最短期間の帰省で済ませて「現状に目を背けている」ことに否応なく気づかされました。

 本の校了を待って帰省し、母の部屋に、やはり通販の箱が積まれていたこと、足の衰えなどにショックを受け、とはいえ松浦さんが「介護関連で、迷ったらまず『地域包括支援センター』!」と言われた、地元の支援センターの方と挨拶を済ませることができました。

 帰京後、支援センターの方から「ご挨拶してきました。お元気そうですね」と連絡を受け、やれやれ、と母にご機嫌伺いの電話をしてみたところ「実はなんだか、足先が痛くて歩けないのよ」と、思いも掛けない話が飛び出してきました。

 え? 昨日の今日じゃないか。
 しかも膝が痛いんじゃなかったんだっけ?

 「いっしょにお蕎麦を食べに行ったときはよかったんだけどね、ほら私、外反母趾だから…」

 え? 外反母趾? 初耳だ。…いや、正確に言えば、「聞いた覚えがない」だけど。

 そういえば昨年末に、「最近、靴が合わなくって」と言うので、地元のショッピングセンターで買ってあげたのでした。が、靴選びは店員さんにお任せで、母の足の形なんて全然見ていませんでした。

 「いつから?」
 「あなたとお蕎麦食べに行ってからだってば」
 「そうじゃなくて、外反母趾」
 「うーん、わからない」

 いずれにせよ「認知症もそうだが、もし歩けなくなったら大変だ」ということが先日の帰省で頭に刻まれたばかりなので、脳内でアラートが鳴りまくります。に、しても、放置すると歩けなくなるような病状なのか、いや、そもそも本当に外反母趾なのか。私と電話で話していたって分かるわけがありません。

『母さん、ごめん。』おかげさまで大増刷決定!
本当にありがとうございます

 ご愛読いただいた「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』が単行本になりました。この本を校了してから私自身が田舎に帰省して、さっそく活用した次第を、こちらの番外編でご紹介しています。

 もちろん、連載でも基本的な情報は同じです。しかし、やはり本で一気読みすると、頭への入り方が違います。連載ご愛読の方も、お手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)


---------読者の皆様からのコメント(その7)---------

連載中にいただいたコメントの一部をご紹介します。

●私の母は認知症ではありませんでしたが80歳を超えて間もなく関節の痛み、手足の痒み、歯痛、不眠、頻尿と身体の不調を訴え始め、大学病院のいくつかの診療科を受診し、幾つもの薬を試した結果、やっと適合するものが見つかり症状が改善しました。その間半年、10分おきにトイレに行く母に周囲も気が気でなく、大変なストレスを受けました。薬が見つからなければどうなっていたことでしょう。親の介護は家族を巻き込んだ消耗戦、コラムの筆者のご苦労がよく分かります。

●普段何気なく仕事をしている方々でも、裏で介護などで心を砕かれていることがあるかもしれない。そういうことに気付かされました。

●いま介護と関係のない多くの人に読んでもらいたい、そして考えなければいけない。
もう目をそむけている余裕なんか日本には全く残されていないんだと強く感じます。

●今もっともアップされるのを待ち望んでいる記事です。人はどのようにして追いつめられて行くのか、その時どう感じているのか。介護、育児、仕事、戦争、分野は違ってもそのプロセスはとても似ていて、人生の不確実性にどう対処してゆくのかというテーマを考えます。今の私が、読むあいだ、救われています。ありがとうございます。

●毎回とても楽しみにしてるコラムです。ご自身のお仕事に加えて、お母様の介護を良くぞされたと頭が下がる思いです。私は筆者と同じ歳、夫も私の両親(70後半代から80代)も車で30-40分のところに住んでおり健在ですが、近い将来自分の身の上にも起こるであろうことと思いながら読んでいます。認知症になるかどうか、介護が必要になるかどうかまったくわかりませんが、そうなる可能性があることを見据えて、自分だったらどうするのかを考えながらこの記事を読んでいます。

●実体験に基づいた素晴らしいreportです。飾らない実情が迫ってくるようです。高齢化社会には誰もが通る道であり、参考になります。

●「介護のストレスは(中略)じわじわと増して、気が付くと、冷静に周囲の状況を見回し、支援を仰ぐことを考えることすら、不可能な精神状態に追い詰められていく」この文章は、家族を介護する人の心理状態を的確に描写していると思います。

家族の介護は365日・24時間。それを一人で担っているうちに、いつの間にか疲弊し、現状を変える力さえ失ってしまう。

そのような時に重要なのは、弟さんのように具体的な行動をしてくれる人です。詳しくは書いてありませんが、弟さんがしてくれた事は筆者の方の苦労に比べれば、それ程大した事ではないはず。でも、その「ちょっとした事」ができなくなってるんですよね、「ぜんぶ自分で抱え込んじゃ」っていると。タイトルは、登場人物と状況を一言で言い切っており非常に秀逸です。

それと、介護保険や「他人の世話になる」事に対する抵抗感は、「介護される側」にも強くあるような気がします。「不正受給」云々は関係なく、自尊心を傷つけられるのかもしれません。

●この記事のように気づいた人が、介護は家族だけで担える状況ではないことを、ぜひ発信して欲しいと思います。

 私は、家族介護者の健康支援をケアラーズカフェやコミュニティカフェで行っています。介護で疲弊しているのに「自分は介護者ではない。家族として当たり前のことをしているだけ」と思い込んでいて、介護保険サービスにつながろうとしない人が時々いらっしゃいます。

 イギリスやフランスでは、「介護者の発見」が支援の第一歩となっています。まずは自分は家族介護者であることを自覚し、公的な支援が必要な立場であり、支援を受ける権利を持っているという働きかけを今後したいと思っています。

(連載にいただいたコメントから引用させていただきました。本当に、ありがとうございます)

コメント20件コメント/レビュー

最近この連載を読み始めたので、コメントが遅くなりました。

N市がどこのことか、へぎそばが出てきたところでほぼわかりましたし、古町が出てきて確定しました。
私はY県A温泉の出身なので、ほとんどの場合、帰省はN市経由で行います。
車の場合はN市まで高速(最近もっと近くまで伸びた)で、その後国道を120キロ走れば実家なので、あと3時間でつくぞと一安心する場所です。
一人で帰省する時は、深夜高速バスを利用します。何度も乗ってるうちにだいぶ慣れました。

Yさんは一人っ子ということですが、それは本当にたいへんだなと思います。
自分の場合は、妹がいるのですが、介護のほとんど全ては私と妻で行いました。
妹が小さな会社に勤めていて、彼女が休むと会社が小さな分、交代要員がなく業務が滞るので休めないとの事情があったのでしかたありません。
ただ、ケアマネージャーへの相談の時などに一緒にいてもらったりして、精神的には助けられました。

家族(子供)が介護の負担の大部分を負うことはやはり問題だと思っています。
介護保険制度によって、家族の負担がかなり軽減されたとは思いますが、もっともっと便利な制度にして欲しいと思います。
少子化問題の面でもプラスになるでしょう。安心が必要なのです。

でも究極の解決策は松浦氏が言ってるように、健康寿命を伸ばして、コロリと逝く直前までピンピンしてることですね。(2017/10/23 19:07)

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「「母の足の形の変化」にまるで気づかなかった私」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

最近この連載を読み始めたので、コメントが遅くなりました。

N市がどこのことか、へぎそばが出てきたところでほぼわかりましたし、古町が出てきて確定しました。
私はY県A温泉の出身なので、ほとんどの場合、帰省はN市経由で行います。
車の場合はN市まで高速(最近もっと近くまで伸びた)で、その後国道を120キロ走れば実家なので、あと3時間でつくぞと一安心する場所です。
一人で帰省する時は、深夜高速バスを利用します。何度も乗ってるうちにだいぶ慣れました。

Yさんは一人っ子ということですが、それは本当にたいへんだなと思います。
自分の場合は、妹がいるのですが、介護のほとんど全ては私と妻で行いました。
妹が小さな会社に勤めていて、彼女が休むと会社が小さな分、交代要員がなく業務が滞るので休めないとの事情があったのでしかたありません。
ただ、ケアマネージャーへの相談の時などに一緒にいてもらったりして、精神的には助けられました。

家族(子供)が介護の負担の大部分を負うことはやはり問題だと思っています。
介護保険制度によって、家族の負担がかなり軽減されたとは思いますが、もっともっと便利な制度にして欲しいと思います。
少子化問題の面でもプラスになるでしょう。安心が必要なのです。

でも究極の解決策は松浦氏が言ってるように、健康寿命を伸ばして、コロリと逝く直前までピンピンしてることですね。(2017/10/23 19:07)

いやいや、続けて下さい。いっそ担当Yの介護生活入門として、松浦氏に弟子入り篇をお願いいたします。(2017/09/01 13:27)

ずっと、興味深く、拝見しています。
初期認知症の父親と同居を始めた独身者です。
思い当たることがあったり、参考になること多々です。
気持ちの上で、救われることも多いです。
山中氏の後追い記事も、是非続けて欲しいと思います。
出来れば、父親の介護の記事もあったら嬉しいです。(2017/09/01 08:55)

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