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「介護もしないうちから偉そうにするな(笑)」

『俺に似たひと』の平川克美さんに聞く(前編)

2017年10月2日(月)

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2009年の暮れから11年6月までの1年半、ほぼ単身で父親の介護をした日々を『俺に似たひと』として上梓した平川克美氏(文筆家、「隣町珈琲」店主)。前回、前々回の杉田かおるさんとの対談では、母を介護する女性×男性、の視点で語り合っていただいたが、今回は、男性が、父親、母親をそれぞれ介護した経験を話し合う。(構成:連載担当編集Y)

松浦晋也(以下松浦):お邪魔します。今日はよろしくお願いします。

平川克美氏(以下平川):いらっしゃい、コーヒーを飲んでからにしましょうか。

ありがとうございます。写真映えのするお店ですね。すごく撮りやすいです。ここは平川さんのお店なんですね。

平川 克美(ひらかわ・かつみ)
文筆家・実業家 1950年東京生まれ。隣町珈琲店主。声と語りのダウンロードサイト「ラジオデイズ」代表。立教大学客員教授。早稲田大学講師。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、内田樹氏らと翻訳を主業務とするアーバン・トラストレーションを設立。1999年、シリコンバレーのBusiness Cafe.Inc.の設立に参加し、CEOを務める。近著に『何かのためではない、特別なこと』『喪失の戦後史』『言葉が鍛えられる場所』『路地裏人生論』など。

平川:いや、そうなのよ。取材に来てもらった方にお茶を飲んで貰って収益も上げる(笑)、というわけでもないんだけど、ずいぶんここで対談をやっています。元々は酔興で作って、でも何となく面白くなって、家に入りきらなくなった本を置くようにしたら、常連さんが自分のも置いてくれと持ってくるようになったり。この店を潰したら本の行き場がなくなっちゃうし、もう、どうしようかと(笑)。

松浦さんのお家も相当、本があふれているんじゃないですか。

松浦:そうでもないです。最近は電子版を買うようにしています。老眼で電車の中で本が読めなくなったんですけど、電子版にしてタブレットを持ち歩いたら、その問題が解決しました。しかし、面白そうな本ばかり見事にそろっていますね。

そうですよね。好きな本を思い切り並べた喫茶店の経営なんて、本好きの男子の理想の老後みたいな気がしますけれど。

平川:いらない本を並べているだけですよ。

松浦:あっ、『驚きの介護民俗学』(六車由実著)があるじゃないですか。ちょうど読みたかった『貨幣進化論』(岩村充著)もあるし。

ああ、岩村先生の。面白いですよ。

平川:六車さんは何度かお会いしていますが、とても面白い方です。おっと、こんな話をしていてはいけませんね。

いえいえ、何のお話でもどうぞ。

平川:じゃあ、やりますか(笑)。お互いに親の介護をしたわけですが、僕と松浦さんは共通点もあるけれど、だいぶ違う体験をしていますね。

航空宇宙ジャーナリストの、介護体験手記。
大きな反響を得た理由を、ぜひ店頭でご確認ください。

 ご愛読いただいておりますこの「介護生活敗戦記」が、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』が単行本になりました。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

--読者の皆様からのコメント(その12)--

今回は「予測的中も悲し、母との満州餃子作り」の回にいただいたコメントからご紹介します(以前に本欄に掲載させていただいたコメントの再掲、ならびに、短く編集させていただいた箇所がございます)。

●全然、敗戦じゃないです。たとえ敗戦であっても、これを読まれた方々が勝戦すれば、勝戦です。

●ひとつひとつのエピソードに筆者の方の 書く勇気を感じます。
自分の過去と文字に向き合う姿が目に浮かぶようで、感動します。背筋が伸びるようです。

●ん?どこかで拝見したことのあるお名前だな、と思ったら、宇宙や防衛に関する的確な記事を書かれている”あの松浦さん”と知って驚いています。

 親の介護という現実が誰にでも起こり得るものと実感すると同時に、過去の記事を読み返して懸命に客観視点を保ちつつ実体験をさらけ出すことへの葛藤も透けて見え、その姿勢に自分の未来を重ね合わせて泣けてきました。

 また、現在介護職にある知り合いなどにも思いを致しました。嫌な話ですが敢えて。私の知る母親達の集まりでは介護職はいわゆる”負け組”のように思われていて、水商売や風俗などとまるで同列に扱う人もいます。

 「介護には落ちたくない」とは実際そこで聞いた言葉ですし、正直私も表現はともかく自分からすすんで介護職にはなりたくないな、というのが本音です。<そういった暗黙の状況にあっても社会にとって現実に介護は必要なわけで、自分が親の介護をする状況と、自分が介護職になる状況 など、この記事を読んでそこまで考えてしまいました。

●2年前に他界した父は運転のプロだった。若い頃はハイヤーの運転手、運送会社、70過ぎまで工場の製品運搬を単身赴任でしていた。僕の引越の時は、会社から大きなトラックを借りてきてくれた。狭い路地なのに大きなトラックを壁ギリギリに止めて、スゴイと思った。そんな父が立体駐車場の区画に自動車を入れることにギクシャクしていた。思わず、「俺がやろうか。」と言ったときの何とも言えない哀しみを忘れない。

 亡くなる2年前には母が入院して約3週間、一緒に暮らした。認知症も進んでいて、自宅と違う環境は父を戸惑わらせ、母を案じて30分ごとに同じ話しをしてきた。30分経つと忘れてしまうのだから、30分ごとに不安になる繰り返しはしんどいことだ。だから何回も同じ説明をした。不安に満ちあふれているときに、息子である僕を見て一瞬安堵する表情が救いだった。

●毎回大変興味深く拝見しています。優しさに包まれていながらも、現実を(できるだけ)冷静に書こうとされているのは、科学ジャーナリストのご経験からでしょうか。
食事への工夫・配慮のあたり、世の普通の主婦と変わらず、よく頑張られたと思います。

(連載にいただいた数々のコメント、本当に、ありがとうございます)

コメント11

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「「介護もしないうちから偉そうにするな(笑)」」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長