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「サッカー日本代表監督」に最も近い日本人

大赤字から復活、サンフレッチェ広島・森保監督が起こした奇跡

2016年3月9日(水)

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 Jリーグの2015シーズン、チャンピオンシップでガンバ大阪を下し、日本一に輝いたサンフレッチェ広島。優勝したのは、森保一監督が就任した2012年から4年間で3度目のこと。チャンピオンシップ直後に開かれた、世界6大会のリーグ優勝チームが集うクラブワールドカップ(W杯)でも熱戦を演じ、日本勢最高タイの世界3位となったのは記憶に新しいところだろう。

 サンフレッチェは資金力に恵まれているチームではない。J1全チームの中で予算規模は中位程度。李忠成、高萩洋次郎、西川周作・・・毎年のように日本代表級の主力選手が資金力のある他チームへと引き抜かれていく。そうした状況にもかかわらず、なぜ圧倒的な強さを維持できるのか。今年2月中旬、その素朴な疑問を、森保監督にぶつけてみた。

森保一(もりやす・はじめ)氏
Jリーグの前身・日本サッカーリーグのマツダに所属。1993年のJリーグ開幕後はサンフレッチェ広島でプレー。京都サンガ、ベガルタ仙台にも在籍した。日本代表として35試合に出場し、「ドーハの悲劇」も経験。サンフレッチェコーチ、アルビレックス新潟ヘッドコーチを経て2012年からサンフレッチェ監督。チームを4年間で3度の日本一に導いた手腕が高く評価されている。愛称は「ポイチ」。激しいプレースタイルと対照的な温和な人柄で知られ、日本に「ボランチ」というポジションを定着させた功労者と言われている。著書に『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(カンゼン)がある。長崎市出身(撮影:石井 貞生)

 「強さの秘訣・・・それは逆にこちらが聞きたいですよ。私が監督を務めたのはサンフレッチェが初めて。他のチームと比べて何が違うのかよく分からないんだ」

 笑いながら記者の質問をやんわりとかわす森保監督。だがすぐにまじめな顔へと切り替え、言葉を継いだ。

 「私は2つあると思っています。1つは練習力。選手が互いにしのぎを削りながら切磋琢磨して練習に取り組んでいる。だから練習のエネルギーがそのまま試合へと向かっています。前の試合が終われば、ゼロからポジションをつかみ取らないと次の試合に出られない。どの選手もそんな強い気持ちで練習に臨んでいます。もう1つは組織力。チームのために戦うという強い気持ちがプラスアルファの力を発揮しているのかなと思っています」

 「練習力と組織力」。この2つが高まれば自然とチームは強くなるが、実践するのは難しい。森保監督は練習から選手の動き・状態をよく見て、試合に出す選手をゼロベースで公平に判断。この「見る」という姿勢をトコトンまで徹底している。

 どの選手よりも早く練習場に現れ、最後の選手が引き上げるまでピッチに残り続ける。20年間サンフレッチェを見続けている公式雑誌「紫熊(シグマ)倶楽部」の中野和也編集長は「若手主体の練習にも足を運ぶ。ここまで徹底している監督は他にいない。いつ休んでいるんだと不思議に思うよ」と話す。

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「「サッカー日本代表監督」に最も近い日本人」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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