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「3000万円ないと老後破産する」のウソ

定年退職時に貯金が150万円しかなかった私

2017年3月10日(金)

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大江英樹(おおえ・ひでき)氏
経済コラムニスト。1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。写真:洞澤 佐智子

 多くの人は定年後の生活に不安を持っています。私のセミナーで参加者に聞くと、多くの方が「老後は不安だ」とおっしゃいます。

 ところが、よく考えてみるとこれは実に不思議な話です。なぜなら持っているお金の額は人によって違うからです。そう考えると、不安だと思う人もいれば、別に不安だと思っていないという人がいてもおかしくありません。にもかかわらず、誰もが一様に「老後が不安だ」と言うのは、いったいどういうわけなのでしょうか。

 例えば50歳の時点で金融資産の保有額がほぼゼロという人はおよそ3割います(金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査」平成28年版より)。一般的な考えでは、定年退職まであと10年ほどということになります。にもかかわらず、金融資産が全くないということであれば、たしかに不安だというのはうなずけます。

 しかしながら、一方では1億円以上の金融資産を保有している人も同じように「老後が不安だ」と言うのです。一体どれくらいのお金があれば「不安」では無くなるのでしょう。

 よく言われるのは「老後の生活には1億円かかる」とか、「定年退職時に3000万円ないと老後破産する」といった類の話です。これはあながち間違いとは言い切れませんが、さりとて正しいというわけでもありません。

 実を言うと私自身、会社で定年退職を迎えた時に持っていた預貯金は150万円しかありませんでした。なにしろ娘2人を中学校から私立に通わせたうえに、高校の時には2人とも1年間海外留学をしたので、普通よりは教育費が余計にかかったと思います。

 さらに私の父が事業に失敗し、私が借入金の保証人になっていたために、父の借金の一部を肩代わりしたという事情もあり、預貯金はあまりなかったのです。

 もちろん持っている金融資産はそれがすべてというわけではなく、従業員持株会などで積み立ててきた自社株が少しはありましたが、退職時には株価が大きく下がっていたため、こちらも時価評価で140万~150万円程度でした。すなわち両方合わせても300万円はなかったのです。しかしながら、退職して5年経ちますが、何とか破産せずに今日まで来ています。

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「「3000万円ないと老後破産する」のウソ」の著者

大江英樹

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

大手証券会社を定年退職後、オフィス・リベルタスを設立。行動経済学、資産運用、企業年金、シニア層向けライフプラン等をテーマとし、執筆やセミナーを行う。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社)など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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