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投票迫るオランダ選挙、極右政党が急伸する理由

左派も取り込むポピュリスト政党の正体

2017年3月14日(火)

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 現地時間の3月15日に実施されるオランダの下院選挙が2日後に迫った。

 今回の選挙の台風の目は、「反イスラム」を掲げる極右政党の自由党だ。最新の世論調査では、今回の選挙で29議席を獲得し、前回の15議席を大幅に上回ると見られている。

 党首のヘルト・ウィルダース氏は、過激な発言で知られる。昨年、モロッコに住むイスラム教徒に対する差別的な発言をして国民を扇動した罪を問われ、有罪判決を受けた。何度も暴漢に襲われた経験を持つため、選挙期間中もほとんど国民の前に姿を現すことはない。にもかかわらず、国民の高い支持を集め続けている。

 古くから移民を受け入れ、寛容の国として知られるオランダでなぜ今、極右政党が勢力をこれほど拡大しているのか。その詳細は、日経ビジネス3月13日号のスペシャルリポート「『寛容の国』オランダの変質」で報じた通り。ここでは、オランダ・ライデン大学政治学部のハンス・ボラード准教授のインタビューをお届けする。

(聞き手は蛯谷 敏)

ハンス・ボラード(Hans Vollaard)氏
オランダ・ライデン大学政治学部准教授。多政党間の協調と合意形成に基づくオランダ特有の民主主義をテーマに研究を続けている。オランダ国内のEU懐疑派政党の分析や、EU域内の医療制度のあり方などの研究も手がける。

ヘルト・ウィルダース党首率いる自由党の勢いが衰えを見せません。選挙戦が終盤に入ってから実施された世論調査でも、29議席を獲得することが予想されています。このままいけば、最多の議席を獲得して第1党になります。これほどまでに、自由党が力を伸ばしている背景には何があるのでしょうか?

ボラード:自由党が支持される背景を知るためには、まず現在の与党第1党である自由民主国民党(VVD)のマルク・ルッテ政権について振り返っておいた方がいいと思います。VVDは前回2012年の選挙で41議席を獲得し、第2党の労働党(PvdA、38議席獲得)と連立政権を組みました。

 前回選挙の時は、2011年に勃発したユーロ危機の直後だったこともあり、経済的な課題が山積していました。株価が急落し、欧州全土がいわゆるソブリン・リスクにさらされました。オランダでも、住宅価格が下落したほか、失業率が急上昇しました。ユーロ危機前まで4%台だった失業率は2014年には7.4%に上昇。2%台だった経済成長率も1.4%に低迷しました。

 ルッテ政権はこの危機に臨んで、構造改革と財政再建を両輪とする再生に乗り出します。失業手当ての縮小や退職者向け年金の支給年齢の段階的な引き上げを進めて社会保障制度を見直したほか、解雇規制の緩和をはじめとする雇用改革に取り組んで労働市場の流動性を高めました。

 その結果、失業率は2016年に、ユーロ危機以前の水準まで下がりました。低迷していた住宅価格も回復。2017年の経済成長見通しは2%と、ユーロ圏19カ国平均の1.6%を上回っています。彼がこの4年あまりで断行した経済政策については高く評価されてよいと思います。

 ところが、こうした経済政策の効果が逆に、自由党の躍進を許すことになってしまっています。

どういうことですか?

ボラード:経済危機の時には一般に、いかに目先の危機を回避し、自分たちの雇用を守るかに国民の関心が集中します。将来が不安なので、経済をどう立て直すかに関心が向かう。自分たちの仕事がこれからどうなるのか、それが何よりも大切ですからね。

 すると、傾向として雇用者のセーフティネットなどを訴える左派系の政党が支持を集めることになります。実際、2012年に行なわれた前回選挙でも、労働者の保護を訴えた労働党が38議席を獲得しました(前々回選挙での獲得議席は30)。

 ところが、この経済危機を乗り切ったがゆえに、今回の選挙では、国民の関心が経済再生に向いていません。むしろ、別の争点に注目が集まることになりました。それが、移民問題なのです。

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「投票迫るオランダ選挙、極右政党が急伸する理由」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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