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日本で1億円の開発費、深圳だと500万円

安直なコピーからイノベーションが生まれる

2018年4月10日(火)

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深圳で売られているさまざまなLED電球

 世界最大の電気街、深圳の華強北に行くと、だいたい一週間サイクルで新製品が見られる。たとえば冒頭の写真にあるLED電球は、Wifiに接続されていてスマートフォンアプリで色が変えられる。このアイデアはもともとPhilipsのHueというWifi電球の安直なコピーから始まったものだと思うが、

  • ・電球にスピーカーがついて音が鳴る電球になった
  • ・形が変わって、本型の電球を開くと光と音が出るようになった
  • ・形がアラビア風になり、時間になるとコーランが流れるようになった

などの派生品が続々と現れ、2~3ヵ月で店頭は写真のようになった。

二つ折り・三つ折り・四つ折り・丸められるものなど、なんでもござれのBluetoothキーボード

組み合わせでどんどん新製品が出てくる深圳の電気街

 写真の折りたたみキーボードも、二つ折りはさまざまな企業が出しているのを見かけるが、便せんのように長辺を四つ折りにするのは他では見たことがないものだ。安直なコピー品が、お互いをコピーし合う間に突然変異を生んで進化する、まるでカンブリア紀の生物を見るような新製品開発が、深圳では行われている。

 このスピードはすごいが、優秀な人たちなら安直なコピーから距離をおきそうなものだ。なぜこのような高速の、かつ大半が安直で、たまに大ヒットが生まれるカンブリア紀のような製品開発が可能なのだろう。

 その秘密の一つは、深圳独自の知的財産管理システムにある。

 深圳で製品のプロトタイプを作る場合、コモディティ化された部品を買うと、関連する知財がついてくる。たとえば「アクションカメラ」「スマートフォン」「タブレット」などは、設計済みのマザーボードが部品として売られていて、数百という単位の小ロットで購入できる。購入すると他に必要な部品(スマートフォンであれば無線モジュールとかカメラセンサーとかタッチパッドとか液晶とか)のリストがもらえる。公板(Gongban、public board)と呼ばれるものだ。

  • ・マザーボードの設計
  • ・関連部品の選定、テスト

は、「設計・開発」の大部分を占める仕事だ。というよりそこを除くと企画と品質管理、マーケティング、アフターサービスぐらいしか残らない。深圳ではそれが低コストで外注でき、そのことがさまざまな企画のハードウェアが大量に市場に現れる原因になっている。

深圳の電気街で売っている監視カメラのマザーボード。最新のチップが発表されると、すぐ設計済みのマザーボードが手に入るのが「深圳での1週間はシリコンバレーでの1カ月」と呼ばれるスピードのもとになっている
公板を使って製造するなら、膨大な部品の中から適合するもののリストと、仕入れ先の連絡電話番号までもらえる

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「日本で1億円の開発費、深圳だと500万円」の著者

高須 正和

高須 正和(たかす・まさかず)

メイカーフェア深圳など運営

1974年生まれ。アジアで行われるメイカーフェアに世界一多く参加し、深圳・シンガポールでは運営に携わる。スイッチサイエンス(株)の社員として、現在、中国深圳在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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