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カルメン 金鉱山を買い、消えた飯場の女

ガリンペイロを追ってアマゾン奥地へ(6)

2016年4月30日(土)

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豊穣にして無限。南米・アマゾン川をずっとずっと遡ったその先に「規格外」の人間たちが生きていた……。 4月10日に第1集が放送されたNHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」シリーズ。 その第2集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」(5月8日放送予定)の番組ディレクターが、放送に先駆けて、アマゾン奥地の「今」を紹介する。 いくつもの支流を分け入った密林の奥、荒くれ者たちが作り上げた金鉱山に潜入した筆者は、映画『地獄の黙示録』さながらの、欲望と暴力と狂瀾に満ちた「王国」を見た。トップアスリートたちが金メダルを競うリオ五輪開催の2016年、同じ南米の奥地には、「金」を求めるもう一つのリアルがある。

前回から読む)

飯場の女たち

 金鉱山はマッチョで野卑な「男の世界」だが、そんな男社会で働く女性たちもいる。「クイジネーラ」(食事を作る女性のこと・賄い婦)と呼ばれる女たちだ。

 私たちも撮影スタッフ全員の食事を作ってもらうために、拠点の街で40代後半の女性をクイジネーラとして雇った。彼女は金鉱山に来るのは初めてだったが、ガリンペイロのことはよく知っていると言った。小屋だろうとジャングルだろうと勤めあげる自信もある、とも言った。しかし、彼女は3日で根をあげ、ついには街に帰ってしまった。

 「黄金の悪魔」の鉱山に4人のクイジネーラがいて、1人あたり10~15人分の食事を作っていた。

 ガリンペイロは朝の6時には仕事に出るから、彼女たちの仕事は4時半に始まり、夜の9時頃まで切れ間なく続く。休みは1日もなく、給料は月に金を30グラム(およそ12万円)だった。仕事はきついが、アマゾンでは十分に暮らしていける給料と言えた。

食事の準備をするクイジネーラ (c)Eduard MAKINO

 だが、クイジネーラの仕事には金鉱山独特の苦労がついてまわった。

 ガリンペイロたちの舐めるような視線に毎日晒され、始終付け回され、肉体関係を迫られ続けるのだ。

 娼婦と違ってクイジネーラはただでヤレる女。ガリンペイロたちはそう思っていたし、公言することも憚らなかった。そのくせ、身体を許したクイジネーラをプータ(淫売)と揶揄し、許さない者を堅物と貶した。

 ガリンペイロたちは、私たちが連れて行った中年のクイジネーラの隣にハンモックを吊り、素っ裸で横になった。関係を結ぶまで諦めないという意志表示だ。彼女が逃げ出すにも無理のないことだった。

「ガリンペイロ――黄金に憑かれた男たち」のバックナンバー

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「カルメン 金鉱山を買い、消えた飯場の女」の著者

国分 拓

国分 拓(こくぶん・ひろむ)

NHKディレクター

2009年、奥アマゾンのヤノマミ族を追った「NHKスペシャル ヤノマミ」を制作。同番組を書籍化した『ヤノマミ』で第10回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、第42回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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