• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ショック! フィンテック大手が取材直後に破綻

2016年3月24日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

2月に経営破綻した英パワ・テクノロジーズの創業者、ダン・ワグナー氏。写真は1月に筆者がインタビューした時のもの。この時、すでに同社の台所は火の車だった…(写真:永川智子、以下同)

 今から約1カ月前の2月16日のことだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が、あるフィンテック企業の破綻を報じた。この企業の名は、POWA TECHNOLOGIES(パワ・テクノロジーズ)という。スマートフォンやパソコン向けの決済システムの開発を生業とする、2007年にロンドンで創業したベンチャー企業だ。

 報道によると、同社は昨年暮れ頃から資金繰りが悪化。従業員に対する給与や取引先への支払いが滞っていた。創業社長であるダン・ワグナー氏が社員に向けて送った動画をFTの記者が入手したことからその実態が明らかとなった。同氏は記事の中で、給与などの支払いが遅延していることを認めながらも、「新たな資金調達先と交渉中」とコメントしていた。

 だが、事態はその後急転する。

 翌17日、パワ社の監査を担当するデロイトが、同社に対して「短期・長期の資金調達に関して深刻な疑問がある」との懸念を発表。そして2日後の19日、パワ社に投融資していた投資ファンドの米ウェリントン・マネジメントが、資金回収が不能となる恐れがあるとして融資の回収に踏み切った。この結果、パワ社は大きな危機に陥った。

 同日、ウェリントンの依頼を受けたデロイトが、管財人となる役員をパワ社に派遣し、経営を掌握した。3月2日には、ワグナー氏ら経営陣の名前が登記簿から抹消されている。

キャメロン首相も期待した決済ベンチャー

 パワ社は、ロンドンのフィンテック業界では名の知れたベンチャー企業だった。主力の「PowaTag(パワタグ)」は、米アップルの「ApplePay(アップルペイ)」に似た仕組みを持つ決済サービスだ。利用者はアプリをスマホにインストールし、クレジットカード情報を事前に登録しておく。一方、パワ社と提携した店舗は商品ごとにQRコードを添付。これを利用者がスマホのカメラで読み取ることで商品を購入できる。

 さらにQRコードだけでなく商品画像や音声なども認識可能で、例えば雑誌広告に掲載された商品画像をカメラで読み取り、そのまま購入するといったことができる。様々な手段で消費者に商品を訴求できることが売りだった。

アプリは画像認識機能を持っており、雑誌の広告などをスマホのカメラでスキャンして、その商品を購入することも可能だ。

 創業当時は、米国の決済ベンチャーであるスクエアのような、スマートフォンやタブレットに差し込むカードリーダー型の商品を開発していたが、その後現在のアプリ型に戦略を転換した。

 社員数は300を超え、ニューヨークや香港など世界15箇所にオフィスを保有。2014年に香港のモバイル決済会社を買収。昨年には中国銀聯の子会社とジョイント・ベンチャーを設立し、中国市場での事業拡大を目指していた。

 パワ社と提携した企業は、同社によれば小売りやメーカーなど100社以上。独アディダス、仏ロレアル、英蘭ユニリーバなどのグローバル企業も名を連ねていた。

 日本でも、昨年9月からサービスを開始。パワ社のプレスリリースによれば、事業開始から3カ月で国内決済総額は10億円を突破。飲食店など50社以上が採用していたという。

 これまでに調達した資金は総額2億2500万ドル(約254億円)。その多くは、冒頭に登場したウェリントン・マネジメントから得た投融資だった。近年のフィンテックブームが追い風となり、パワ社の評価額は一時27億ドル(約3000億円)とも言われた。英国のフィンテック企業では数少ない、“ユニコーン”――評価額が10億ドルを超える未上場企業――の1社にのし上がった。ロンドンのフィンテックを牽引するリーダー格として、英国のデビッド・キャメロン首相も期待していたという。

コメント1

「欧州フィンテック最前線」のバックナンバー

  • 欧州フィンテック最前線

    2016年3月24日

    ショック! フィンテック大手が取材直後に破綻

一覧

「ショック! フィンテック大手が取材直後に破綻」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員