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「なぜ自分たちが?」多忙すぎる「課長職」の悲鳴

2018年2月9日(金)

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延々と終わらない「チームリーダー」の仕事

 「いつからこんなことになっちゃったんだろ……」
 誰もいなくなったオフィスで、Hさんは思った。大手消費財メーカーの企画部門の第一線で働く「課長職」で、部下は8人。しかし、いまフロアにいるのはHさんだけになってしまった。

 とにかく、忙しいのだ。4年ほど前に今のポジションになった時も、そこそこには多忙だった。ところが気がついたら、周りの中で一番忙しくなってしまった。
 どうにか仕事も片付きそうなので、Hさんは帰り支度をしながら考えた。
 「そもそも、“プレイング・マネージャー”とか言い出した辺りから怪しいんだよな」

 Hさんの肩書は、「チームリーダー」だ。かつては「課長」だったのだが、Hさんが昇格する少し前に変更された。会社の説明によれば、単に流行りでカタカナにしたわけではない。
 これからの部署長は「プレイング・マネージャー」であるべきだという。つまり、「管理するだけ」が仕事ではなく、自らも前線に出るということらしい。
 では、給与が増えるかといえばそうではない。何やら怪しいと思ったのだが、「まあ、そんなものだろう」と思っていた。

 たしかに、昔の管理職は「判を押す」のが仕事だった。それだけで給与がもらえるのはたしかに甘いだろう。だからHさんも、現場の仕事を続けた。
 事業部の定例会議に出る一方で、企画のミーティングにも出て、アイデアをまとめた。若手が早朝に勉強会を始めたというので、時には参加した。そうやって、部下も育ってきた。
 それなのに、「自分でなくてはできない仕事」が増えてしまったのだ。

プロジェクトと折衝に追いかけられ

 別に、Hさんが仕事を抱え込んでいるわけではない。にもかかわらず人に任せられない仕事が増えてきた。
 今日作っていた書類は、横断プロジェクトにかかわるものだ。役員の管掌でメンバーの中でHさんは最も若い一人だ。事前準備などの役回りから、逃げるわけにはいかない。

 先月は、海外の工場まで出張に行った。以前なら部下に任せていたのだが、話がややこしくなっているのだ。製品は好調で営業は「もっとよこせ」というのだが、生産現場の動きは鈍い。
 Hさんが工場まで行き、帰国したら営業との折衝である。いろんな「貸し借り」もあり、部長や役員への根回しが必要だ。そうなると、どう見ても自分以外に適任がいないのである。
 そして、来月からはとある企業との提携交渉が始まる。そもそもが、社内でもごく一部の人しか知らないことだ。つまり、そうそうと部下には任せられない。

 チームのメンバーは、よく頑張っている。それなのに、ビジネスの難度がそれ以上に高まっているのだ。とにかく「やるしかない」のである。
 ただし、Hさんは少しホッとしていた。この週末は、研修があるのだ。同世代の40代前半を中心にした選抜型の研修で、仲のいいメンバーに会える。ただし金曜から土曜にかけてなので、休みは減ってしまう。
 「でも、家にいるより休めたりするもんだよ」
 そういう者もいて、Hさんも同感だった。研修所はなかなか快適だし、会社でも家庭でもない場所にいられることはありがたいのだ。

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「「なぜ自分たちが?」多忙すぎる「課長職」の悲鳴」の著者

山本 直人

山本 直人(やまもと・なおと)

コンサルタント・青山学院大学講師

博報堂でクリエイティブ、研究開発、人事などを経て2004年に独立。キャリア開発とマーケティングの両面から企業を対象にした活動をおこなう。著作に「グッドキャリア」など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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清野 智 東日本旅客鉄道会長