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息子の志望校合格が、躓きのきっかけだった

2017年3月17日(金)

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「よく、この程度でうちの会社に入って来られたな」

 3月は人が動く。街には新生活のスタートに向けた広告が溢れて、週末ともなれば都心の店舗には人が群がる。そして、会社員にとっては異動や昇進という大イベントもある。

 恒例の人事通達を告げる社内システムの画面を見ながら、Bさんは心の中で呟いた。

「そうか、Hさんは“あの街”に行くのか」

 現在課長職のBさんは4月から次長に昇進する。そして、Hさんはかつての上司で今年で55歳になる。Hさんが異動する支社は、一昨年新たな新幹線が開通した北陸の都市だ。

「なんか不思議な縁なのかな……」

 Bさんがそう考えるのには理由があった。それは、今から7年ほど前に遡る。Bさんにとっては忘れられない経験があったのだ。

 その頃、Hさんは営業セクションの課長でBさんはいわば「番頭格」の部下だった。課の業績は比較的安定していて、Bさんにとっては居心地の良い部署だった。

 Hさんは元々はバランス感覚の優れた人で、仕えていて大きな不満はなかった。ところが、ある時期からHさんに妙な「癖」のようなものが強くなった。

 新入社員などの若手に対して、やたらと辛く当たるのだ。Bさんのように30代半ばの中堅には普通に接しているのに、若手にはきついことを言う。

「よく、この程度でうちの会社に入って来られたな」

 そんな言いぐさはまだいい方で、ある時、きちんとした挨拶ができなかった新人にこんなことを言った。

「いったい、どんな育てられ方をしてきたんだよ!」

 この時は、言われた新人も顔色が変わった。慌てたBさんたちが、「いや、いろいろ忙しくて気が回らなかったんでしょう」と諫めたほどだった。

 何で変わってしまったのか?部下や同僚も首をひねるばかりだったし、Bさんにもその理由はわからなかった。

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「息子の志望校合格が、躓きのきっかけだった」の著者

山本 直人

山本 直人(やまもと・なおと)

コンサルタント・青山学院大学講師

博報堂でクリエイティブ、研究開発、人事などを経て2004年に独立。キャリア開発とマーケティングの両面から企業を対象にした活動をおこなう。著作に「グッドキャリア」など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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