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ミドルに広がる「タモリになりたい症候群」の罠

2016年6月24日(金)

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なぜか早々と「枯れてしまった」先輩

 Lさんは、事務機器メーカーに勤める30代後半の女性社員だ。企業相手から消費者向けの製品まで広く扱う老舗だが、社内の風通しはいい方だと思っている。女性にとっても働きやすく、Lさんも近頃チームリーダーになった。

 そんな彼女にとって、Gさんとの出会いは大きかった。彼は10年ほど歳上で、仕事のことを丁寧に教えてくれた先輩だ。営業部門の所属で、合理的に考えるタイプで、押しつけがない。

 そのGさんは、最近次長になった。この会社で、このポストを「どう見るか」は、なんとも悩ましい。次長経由で部長になる人もいれば、ここが「あがり」という人もいる。次長を飛ばしていきなり部長になる人もいるので、何とも「微妙」なところなのだ。

 Gさんは、どうやら早々に割り切ったらしい。担当得意先があるわけでもなく、仕事内容は、大きいプロジェクトや部門横断案件の調整役などが多い。時間的にもラクになったようで、気がつくと帰宅していることも増えた。

 「まあ、そんなものかな」とLさんは思う。もともとGさんは、出世に執着したり、競争に燃えるタイプではなかった。そういう人なんだな、とわかっているが、彼女にとってはどこかスッキリしない。

 最近聞くところによると、Gさんは結構いろいろな趣味をもっているようだ。アナログレコードを集めているとか、折り畳み自転車であちらこちらに行ってるとか、いろんな話が聞こえてくる。料理も達者なようで、話を聞いた女性は「本当に奥さんが羨ましい」などと言う。

 でも、Lさんは、「なんか違うんだよなぁ」と思う。

 Gさんは、たしかにガツガツした人ではない。しかし、確実に仕事はできる人だ。「地頭がいい」というのだろうか、皆が悩んでいるような時でもスッと答えを出してくれる。

 何と言っても、彼女にとっては仕事の手ほどきをしてくれた、大恩人なのだ。だからこそ、歯がゆい思いもあったのだろう。

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「ミドルに広がる「タモリになりたい症候群」の罠」の著者

山本 直人

山本 直人(やまもと・なおと)

コンサルタント・青山学院大学講師

博報堂でクリエイティブ、研究開発、人事などを経て2004年に独立。キャリア開発とマーケティングの両面から企業を対象にした活動をおこなう。著作に「グッドキャリア」など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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