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「貧乏くじ男」の誰も知らなかった幸せ

2017年12月8日(金)

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ついつい思い出す不思議な先輩

 師走になって、街は慌ただしい。
 そして、この季節になるとFさんは先輩社員のNさんを思い出す。

 Fさんは、大手メーカーの部長職だ。いまのポジションについて3年になり、たくさんの部下を率いる立場にいる。
 サラリーマンとしては、十分に羨ましがられるポジションだろう。しかし、そろそろゴールが見え始めてきた。
 1年が終わろうとして、今年を振り返る。すると、「来年はどうなるんだろうか」という気持ちになっていく。50代ともなると、来年どころかその先の行く末が気になってくる。

 Nさんの定年退職の送別会も12月だった。そんなこともあってか「またNさんと会ってみたいなぁ」という思いが頭の隅をよぎった。
 だが、NさんはFさんにとって「常に先を歩き続けた先輩」というわけではない。また、決して「できる先輩」というわけでもない。
 Fさんが部長として着任した時に、Nさんは管理課長という立場だった。定年まで、あと1年あまり。いわば「あがり」のポストであり、Fさんにとっては、年上の部下だった。

 Nさんは穏やかな人柄で、でFさんをきちんと支えてくれた。ただ、あまり自分のことを語る人ではなかった。
 それでも、Nさんはある意味で「有名人」だった。実は、その社歴を辿ると「貧乏くじ」の連続だったのだ。あまり自分から話すわけではないが、その噂はFさんの耳にも入っていた。
 そんなNさんに、Fさんが惹かれる理由はどこにあるのだろうか?
 まずはNさんの経歴を振り返ってみよう。

「後始末」に徹した会社員人生

 Nさんが入社したのは、オイルショックが一段落した後になる。自動車メーカーにも納品するB to Bのメーカーなので、影響は大きかった。ようやく経済の状態はひと息ついたものの、高度成長時代の浮いた気分はなくなりつつあった。
 Nさんは営業部門に配属された。ところが、ここで最初の不運が起きる。配属された部の大手取引先の経営が危うくなったのだ。当然のことながら、自社への影響も大きい。
 部は実質的に「解散」となり、若いNさんは「引き取られる」ように異動した。その後も特定の部に長くいることはなかったが、入社10年が経った頃に広報室に異動となった。

コメント2件コメント/レビュー

こんな人生もありですよね。おごらず、腐らず淡々と業務を行う。こんな風になってみたかった。今からでも遅くないんだろうけど。(2017/12/08 11:10)

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「「貧乏くじ男」の誰も知らなかった幸せ」の著者

山本 直人

山本 直人(やまもと・なおと)

コンサルタント・青山学院大学講師

博報堂でクリエイティブ、研究開発、人事などを経て2004年に独立。キャリア開発とマーケティングの両面から企業を対象にした活動をおこなう。著作に「グッドキャリア」など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

こんな人生もありですよね。おごらず、腐らず淡々と業務を行う。こんな風になってみたかった。今からでも遅くないんだろうけど。(2017/12/08 11:10)

お月さまは何時も地球に同じ面を向けているので、地上の人はウサギの月面しか印象にないが、もしかすると反対側には異星人の秘密基地があるかもしれない。
サラリーマンとて同じこと、会社の人は職場での顔でその人の全部を知った気になっているが、人生を深く生きている人ほど裏の面を持っていて、そこにはアリスの国があるかもしれない。いや、そういう人生を目指すべきだと思う。
私も会社の都合で単身赴任が長く、あちこち部署を変わらされた口で、「貧乏くじ」の一員だと自認している。しかし、その反面で仕事にある意味見切りをつけて家族を大事にしたおかげで、子供たちはみな一生カネに困らない職に就き、妻の事業も成功した。自分自身も仕事が変わる都度色々な勉強を重ね、英会話も上達して家族での海外旅行が楽しみとなっている。
人間万事塞翁が馬、これが私の座右の銘である。(2017/12/08 08:44)

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