• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

ロシア皇帝の恋愛映画が社会を分断?

対応に苦慮するプーチン政権

2017年10月27日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 純愛を描いた芸術作品か、皇帝や宗教を冒瀆(ぼうとく)する愚作か――。ロシア最後の皇帝ニコライ2世とバレリーナの恋愛を描いた劇映画が大きな社会論争を引き起こし、大統領選を控えたプーチン政権も対応に苦慮している。

映画「マチルダ」の試写には多くの市民が集まった(写真:ロイター/アフロ)

 ロシア社会で今、国民の関心を集めているのが新作映画「マチルダ」をめぐる論争だ。19世紀末、皇帝即位前のニコライ2世とバレリーナのマチルダ・クシェシンスカヤのロマンスを主題にした劇映画だが、宗教団体や民族主義組織などから上演禁止を求める声が上がり、劇場公開が危ぶまれる事態となったからだ。

 監督のアレクセイ・ウチーチェリ氏がもともと、この映画の制作を発表したのは5年前の2012年。ロシアの映画基金が財政支援を約束し、同監督率いる映画スタジオ「ロック」が2014年から撮影を始めた。音楽はマチルダが実際に踊っていたサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場の交響楽団が担い、豪華絢爛(けんらん)な装置や衣装をそろえるなど、かなりの資金と労力をかけた。専門家の間では以前から、歴史大作への期待が高まっていた。

 半面、「マチルダ」の制作や上映に反発する動きは、1年ほど前から散見されるようになった。一部の宗教団体や民族主義組織などが「反ロシア、反宗教をあおる映画」と非難し始めたのだ。ウチーチェリ監督自身は当時、「映画はまだ制作中で、まだ誰も一場面すらみていない。その段階で(映画の内容を)評価することはできないはずだ」と聞き流していた。

 抗議行動が激しさを増したのは、今年10月末から劇場で一般公開するという日程が決まってからだ。上映禁止を求めるデモや集会だけでなく、今年8月末にはウチーチェリ監督の事務所が入るサンクトペテルブルクの映画スタジオに火炎瓶が投げつけられる事件が起きた。

 さらに9月に入ると、今度はエカテリンブルクで「マチルダ」の上映を予定していた映画館に男が車で突っ込み、劇場内のロビーを全焼させた。モスクワではウチーチェリ監督の弁護士の事務所前で、何者かが乗用車2台に放火する事件が起きた。現場には「『マチルダ』は燃やすべきだ」と記されたチラシが残されていたという。映画館に対する脅迫も相次ぎ、ついには大手映画館チェーンが一時、「観客の安全が確保できない」と上映中止を表明する事態となった。

「解析ロシア」のバックナンバー

一覧

「ロシア皇帝の恋愛映画が社会を分断?」の著者

池田 元博

池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

すきま時間を活用できることに気づいた消費者は、時間価値をかつてないほど意識している。

松岡 真宏 フロンティア・マネジメント代表