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「使えない」異質な人材がイノベーションを興す

第26回:事業部から独立した聖域を作り、未来のために種をまく(2)

2018年5月16日(水)

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川崎:私たちも、過去はあまりオープンイノベーションを考えず、独自路線でやってきました。

 しかし、その考えは変えました。早稲田大学の入山章栄准教授が「イノベーションの本質は知と知の組み合わせだ」と、「知の探索・知の深化」を重視されていますが、まさに、それが重要だと思います。やっと縦軸に横串を入れ始めて、社内組織の融合を始めましたが、それだけでは足りないと、遅まきながら思っています。

松本:だいぶ前ですが、アシモを開発する人材を募集するために、「異質な才能を求む」という新聞広告を出したのですが、その言葉に惹かれて入ってきた人間が、本当にアシモを実現しました。決して、“有能な才能”ではなく、“異質な才能”なのです。

 「知と知の組み合わせ」は、「多様性」とも言えますね。私たちは、創業のころは本当に小さな会社で、中途採用の社員がほとんどでした。その結果、様々な経験を持った才能の組み合わせが自然と生まれて、それが、会社の原動力となったのです。そうしたことの重要性を最近、改めて思います。

川崎:私は営業畑だったので、常にアンテナを広げ、客先のニーズを知り、競合の動きを察知し、それを事業部に伝えていました。「セールス&マーケティング」ですね。そうした仕組みを、今、改めて構築しようとしています。

 これも原点回帰です。営業がもっと発信をしていこうということです。事業部の人間も、もっと外に出て、マーケットを知らなくてはいけない。そうじゃないと、どうしても“プロダクトアウト”に戻ってしまうと思います。

目標は限りなく高く、そのかわり、失敗は許容する

 本田技術研究所は、社内に「イノベーションラボ」という聖域を作った。

松本:「イノベーションラボ」は、新しい価値創出の使命を負った場所です。失敗は100も承知、だけど目標が低いのは許さない、社内よりも外界との接点を多くする、そんな場所で、私は「出島」とも呼んでいます。しかも、その組織がピラミッドにならないように、プロジェクトごとに、“お山の大将”を集めるようにしました。

 ここでは、創業時のスタイルに戻して、上意下達ではなく、研究開発の責任者が自由裁量で多くのことをできるようにし、「異質並行主義」を採用しています。ゴールはひとつだが、そこに行くパスは何種類かを競争させるのです。なぜならば、技術の進化によっては、今までダメだと思っていたやり方が急に有効になるといった例もたくさんあるからです。

 オープンイノベーションを旨とするので、このラボは、本社のある埼玉県ではなく、赤坂に置きました。外部の空気を吸い、世の中で何が起こっているのかを肌で感じることが重要だと思うからです。

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「「使えない」異質な人材がイノベーションを興す」の著者

西口 尚宏

西口 尚宏(にしぐち・なおひろ)

一般社団法人JIN専務理事

上智大学経済学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒(MBA)。日本長期信用銀行、世界銀行グループ人事局,産業革新機構 執行役員nadoを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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