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三井不動産社長:入れ物で勝負する時は終わった

第14回:失敗を恐れず、マーケットは自分たちで創り続ける(1)

2017年9月11日(月)

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 今回お届けする「イノベーション100委員会」座談会(開催は2017年4月21日)の出席者は、三井不動産の菰田正信社長、旭硝子の島村琢哉社長、パナソニックの津賀一宏社長の3名。不動産、素材メーカー、消費財メーカーと業種はそれぞれ違うが、その問題意識は同じだった。彼らが一様に主張するのは、成功体験を引きずらないこと。開発者がマーケットを肌で感じること。そして失敗を恐れず、それを許す文化の醸成だ。そうした組織を作り上げることがこれからの企業を率いる経営者に求められる資質であり、ビジネスパーソン一人ひとりが達成すべきテーマであるようだ。
菰田正信(こもだ・まさのぶ)氏
三井不動産社長。1978年、三井不動産入社。業務企画室長、経営企画部長を経て、2005年に執行役員に就任。グループ執行役員(三井不動産レジデンシャル常務執行役員)、常務取締役、専務取締役を経て、2011年6月より現職。時間とともに価値が低下する「経年劣化」に対し、時が経つほど魅力が増す「経年優化」する街づくりを目指す(写真:北山 宏一、以下同)

 不動産業界は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは右肩上がりの景気が予想されている。しかし、そうした状況に安心していたのでは、イノベーションのジレンマに陥ったかつての「大企業」の轍をまた踏むことになってしまう。

 三井不動産の菰田正信社長の見解も同じだ。「私たちもずっと増収増益できていますが、目下の最大の問題は2020年以降の市場をどう予測し、そこにいかに適応するかです。このままのビジネスを続けているだけでは、成長どころか現状維持も難しいと考えるからです」と言う。だからこそ、新たなイノベーションが必要というわけだ。

 不動産もハードの勝負は既に終わった。消費者が求めているのは「入れ物」ではなく、そこで、どのような暮らしができるかということだ。

 「住宅もそうですし、商業施設もそうです。とくに人気の商業施設は時代とともに変わります。もはや、百貨店もGMS(総合スーパー)も従来と同じ業態のままでは厳しい状況と言えます。ショッピングモールが、今、流行りですが、そこに求められるものも様変わりしています」(菰田氏)

 「オフィスビルもそうです。オフィスビルに入居いただくテナントさんにしても、求められる立地や機能は大きく変わってきています。そのビルでどのようなオフィスライフを送れるのか、自分たちのビジネスに何かメリットがあるのか、ということがこれまで以上に重視されるようになりました」(菰田氏)

 三井不動産にとって、オフィスビル事業は創業以来のコアビジネスだ。それに比べて、商業施設は比較的歴史の浅いビジネスだそうだ。後者はまだまだ変化の余地があるが、オフィスビルは難しい。だからこそ、ソフトであり、暮らし方、働き方の提案が重要であり、さらに言えば、ビル単体ではなく街全体の魅力が重要になる。

 「今は『街対街』の競争フェーズなのです。私たちは、ただビルという入れ物を建てるのではなく、そのビルが機能する街そのものを開発し、改善していかなければいけないのです」(菰田氏)

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「三井不動産社長:入れ物で勝負する時は終わった」の著者

西口 尚宏

西口 尚宏(にしぐち・なおひろ)

一般社団法人JIN専務理事

上智大学経済学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒(MBA)。日本長期信用銀行、世界銀行グループ人事局,産業革新機構 執行役員nadoを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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