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新会社フラクタ設立、「100兆円市場」に挑む!

二兎を追わず一点突破。だって僕らはベンチャーだから

2017年6月19日(月)

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 記事の更新を1カ月スキップしてしまった。これを毎月楽しみにしてくれていた読者の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。しかし、こうして記事の執筆をお休みしている間、僕の人生にも色々なドラマがあったのだ。今回はまず、その話から始めよう。

 5月15日の深夜11時(カリフォルニア時間)、日本のロボット会社で臨時株主総会が開催された。日本のロボット会社が、その米国事業であるデータ解析事業、すなわち僕とラースさんが始め、1年半に渡り、大奮闘しながら必死で育ててきた事業の全部を、ある米国企業に売却することを決議したのだ。この事業を買収した米国企業の名前は「Fracta, Inc.(フラクタ・インク)」。何とも不思議な名前の会社だ。いったいどこの誰だというのか?

人型ロボットへの愛と、社長としての責任と

 話は数カ月前にさかのぼる。

 僕たちは悩んでいた。ラースさんと一緒にアメリカでロボットを売ろうと思って始まったこの旅だったが、徐々にロボットの活躍の場が減っていき、実際にアメリカの社会インフラ、とにもかくにも僕たちが毎日話をしている水道公社が困っている問題を解決するためには、AI(人工知能)の機械学習を使ったデータ解析を主軸にビジネスを展開していくことが正しい姿であることが明白になってきたのだ。少々難しいビジネス用語を使えば、「日米事業間における、事業シナジーの喪失」とか、言うのだろう。

 話を進めれば進めるほど、ロボットが取得するデータの数には限界があり、これが僕たちの解析ソフトウエアの精度を向上させるに十分な量を確保できないということが分かってきた。アメリカで事業を進めれば進めるほど、日本とアメリカの事業の性質が、異なるものに変化していく。市場を見つめれば見つめるほど、僕たちはロボットから離れていく。しかし苦しいけれども、一方でそれをビジネスとして見れば、僕たちは正しい道に進んでいた。市場が「変化すること」そのものは、いわば仕方のないことであり、それ自体は社長の責任ではない。一方で、市場の「変化にいち早く対応すること」こそが社長の責任であり、この変化に取り残されることは、すなわち社長の怠慢とも言える。それはかつて僕が企業再生の道を歩んだときに痛感したことでもあった。しかし…。

 この変化に対応するためには、ロボットを捨てなければならなかった。市場を生きるものとして、ビジネスマンとしては仕方のないこととは言え、今でも大好きな「ヒト型ロボット」(注:筆者は2013年に自らが設立から携わったヒト型ロボットベンチャーSCHAFTを、米国Google本社に売却)を筆頭に、ロボットという大変に複雑でかつ不思議な機械を愛している僕からすれば、これはそんなに簡単な決断ではないのだ。市場というものが僕たちに語りかける結果として、友人であり仲間であるヨネが作ってくれたロボットを、今後のビジネスの中で使わないという道を選択するなんて、そもそも僕にできるはずがなかった。

 つい先日も、ブルーレイ・ディスクで映画「REAL STEEL(リアル・スティール)」を見て、ヒト型ロボットATOM(アトム)の大奮闘に相も変わらず大興奮したばかりだ(ヒュー・ジャックマン演じる父親役のチャーリーと、息子のマックスの親子愛は何度見ても素晴らしい。この映画を見ていない人は、人生を損している。嘘じゃない。今すぐ見るべきだ)。

 …「REAL STEEL」の話を始めると止まらなくなるので、このあたりで話を戻そう。

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「新会社フラクタ設立、「100兆円市場」に挑む!」の著者

加藤 崇

加藤 崇(かとう・たかし)

加藤崇事務所代表

1978年生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京三菱銀行、KPMG日本法人、技術系ベンチャー企業社長などを経て、2013年、ヒト型ロボットベンチャーSCHAFTをグーグルに売却し、世界から注目を集めた。スタンフォード大学客員研究員(兼任)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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