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縮む21世紀は、「先を恐れる力」で生きる

大創産業・矢野博丈社長の視点

2016年5月11日(水)

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 デフレの波が世界に迫る――。先駆けて長いデフレを経験した日本で、その荒波を乗り越えてきた経営者は現状をどう見ているのか。100円ショップ最大手としてデフレ時代に急成長した大創産業の矢野博丈社長に話を聞いた。(聞き手は杉原淳一)

日本経済がデフレからの脱却に手間取っています。さらには世界中で、日本がこれまで経験してきたようなデフレの兆しも出てきました。

矢野:20世紀は伸びる世紀だったと思います。売れるのが当たり前の時代だから、「成長、成長」と言って、何でも強気でやっていれば儲かった。そのやり方はもう通用しません。21世紀は縮む世紀だからです。20世紀に名経営者と言われて名を残した人だって、この時代に経営をやったら簡単に会社を潰した人も多いはずです。

大創産業の矢野博丈社長(写真:橋本真宏)

 日本はデフレというよりは、企業の工夫で物の値段が安くなってきたんですよ。したくもないのに合併して、大量仕入れにして安くしようと努力してきたわけです。

 だから安倍首相が「デフレじゃデフレじゃ」と言うと腹が立ちますね。安くすること以外、生きる道がないんですよ。昔のソニーのウォークマンのように大ヒットする新商品がどんどん出て来ればいいけど、それももう現れないでしょう。小売りは常に価格競争に迫られるから、泣きながら企業努力で対応しているだけなんです。

「金融景気」は後始末が必要になる

経営者は「縮む21世紀」にどう対応したらよいのでしょうか。

 経営が傾いてから危機感を持つのではなくて、危機の中で生きているということを常に忘れないことでしょうね。日本ではよく、経営者にとって「先を読む力」が大事だと言いますけど、所詮、人間にそんな力はないです。常に死ぬかもしれないという危機の中で、「先を恐れる力」しかないんですよ。

 日本経済の先行きへの不安は増していくでしょう。(日銀の金融緩和による)「金融景気」は本当の景気じゃない。景気は湧いてくるものだと思いますが、今は無理やり湧くようにしているだけ。必ず後始末が必要になると思います。

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「縮む21世紀は、「先を恐れる力」で生きる」の著者

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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