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日産が「1000万台クラブ」を目指す必然

2極化する世界の自動車メーカー

2016年6月8日(水)

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 日産自動車が規模を追う理由は何か。日経ビジネスはアーサー・D・リトル・ジャパンと共同で、世界の主な自動車メーカーの規模や収益性などを分析した。

 見えてきたのは、販売台数が「1000万台クラブ」と「200万台クラブ」の2極化だった。中途半端な規模のメーカーは収益性の低下に苦しむ傾向にある。自動車業界再編の行く末を、数字から読み解く。

アーサー・D・リトル・ジャパンの鈴木裕人氏

日産自動車が三菱自動車を傘下に入れ、「1000万台クラブ」の仲間入りを果たそうとしています。自動車メーカーの規模(グローバル販売台数)と収益性(営業利益率)の分布にどんな関係がありますか。

鈴木:漠然と言われてきた、自動車業界での勝ちパターンの2極化が、この10年で進んでいることが分布図から読み取れます(下の図)。一方が、世界販売台数100万台~200万台の「200万台クラブ」、もう一方が「1000万台クラブ」。国内メーカーで言えば、前者がマツダや富士重工業、後者がトヨタ自動車です。

 まず、200万台クラブですが、独BMW、マツダ、富士重など、一つのブランドをグローバルで展開し、地域ごとに派生車を販売していないメーカーです。私は、1ブランドを世界で販売する限界が200万台なのだと考えています。それ以上売ろうとすると、マルチブランドや、地域戦略車を発売しなければならない。

 しかし、マルチブランドで多くのラインナップをそろえようとすると、開発リソースが必要になってくる。また、それぞれの国や地域に対して販路への投資も必要です。ブランディングへの投資も要る。それぞれのブランドでグローバルに展開しようとすると、現在の市場では1000万台規模が必要になってきます。

 トヨタや独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズのいずれもマルチブランドで地域別モデルを販売し、自社単独で全方位型の技術戦略を持っています。

独ダイムラーと米クライスラーの統合や仏ルノーによる日産への出資など、グローバルな再編が起こった1990年代には生き残りの条件として「400万台クラブ」と呼ばれました。

鈴木:400万台クラブの時代には、新興国市場がほとんど期待できませんでした。各自動車メーカーは、先進国市場だけでクルマを売っていた。VWが中国で先行するなど例外はありましたが、前提は先進国だったわけです。それが、現在では世界販売に占める新興国市場の比率が5割を超えました。市場拡大が「400万台クラブ」を「1000万台クラブ」に押し上げたのです。

200万台クラブの戦略は。

鈴木:200万台クラブは、必要な要素技術に優先順位を付けて投資を選択せざるを得ません。足りない部分は企業間の連携で補完するアライアンス戦略が基本になります。

三菱自動車もその方向を目指していました。

鈴木:目指していたのはその通りですが、勝ち抜くには差別化が必要です。技術的にも、ブランドとしても。マツダが欧州で、富士重が北米で投資をしていたようなブランド投資を、三菱自動車はできていなかった。結局、三菱のクルマはコモディティの域を出ていなかったということでしょう。

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「日産が「1000万台クラブ」を目指す必然」の著者

島津 翔

島津 翔(しまづ・しょう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学大学院工学系研究科修了、日経BP社に入社。建設系専門誌である日経コンストラクション、日経アーキテクチュアを経て、2014年12月から日経ビジネス記者。担当分野は自動車、自動車部品。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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