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東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」

逃げ道を塞ぐ、7934億円の「債務保証」

2017年2月16日(木)

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 「排他的かつ取り消し不能の固定価格オプションが発効したら、EPC(設計・調達・建設)契約が変更され、プロジェクトの残りのコストが確定する」

 2016年5月26日、米スキャナ電力が1通のプレスリリースを配信した。同社が発注し、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)がサウスカロライナ州で建設中の「VCサマー2/3号機」について、一定額以上のコスト負担を拒否するという内容だ。

米スキャナ電力が2016年5月26日に配信したプレスリリース

 具体的には5億500万ドル(約570億円)を支払って「固定価格オプション」を行使することで、スキャナ電力が支払う原発建設コストの総額を最大76億7900万ドル(約8680億円)に固定する。建設工事に関してこれ以上のコスト超過が発生した場合は、スキャナ電力ではなくWHが支払うように契約を変更する。11月に米国の規制当局が承認し、実際にオプションが発動した。

 東芝は本件を開示していないが、広報担当者が上記の内容を認めた。ある関係者は、WHが米ジョージア州で建設中の「ボーグル3/4号機」についても同様の契約になっている可能性を指摘する。

 「契約変更の結果、WHは“無限責任”を負わされることになった」と、東芝原子力部門の元幹部は説明する。東芝の米原子力事業における損失が雪だるま式に膨れあがった原因の1つがこれだ。固定価格オプションが発動されたことで、WHはコスト超過分を電力会社に転嫁したり、交渉したりできなくなったのだ。

 東芝は2017年2月14日、WHが米国で建設中の4基の原発について、労務費や設備調達費用などの合計が当初の想定より「61億ドル(約6900億円)」も増加したと発表。この日の記者会見で畠澤守・執行役常務は「現時点からプラントが完成するまでのコストを保守的に積みあげた」と説明し、コスト超過分を含めた7125億円を減損損失として計上した。

 ではなぜ、東芝とWHはこのような契約に苦しめられているのか。原因を探ると2015年12月末の買収劇に突き当たる。キーワードは2つ。「焦り」と「思い上がり」だ。

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「東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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