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東芝存続には、WHの“破産”以外に道はない

数十人の内部告発で判明、原発損失の真の原因

2017年3月13日(月)

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 東芝は3月14日に1カ月遅れで決算を発表し、米原発事業について7000億円規模の損失を計上する見通しだ。だが米ウエスチングハウス(WH)が手掛ける建設工事が難航すると、さらに数千億円規模の損失が発生するリスクが出てきた。米連邦破産法11条の申請が現実味を帯びてきた。

 「損失が7000億円程度で済むと思ったら大間違いだ」

 米ウエスチングハウス(WH)に駐在経験のある東芝関係者は、匿名を条件にこう打ち明けた。

 「米国の原子力発電所を作るのにどれだけコストがかかるのか、経営陣ですら分かっていないだろう」

再び寄せられた数十人からの内部告発

 東芝は3月14日、1カ月延期していた2016年4~12月期連結決算を発表する予定だ。事前の予想通りなら、米国の4基の原発建設プロジェクトに関して7125億円を減損損失として計上することになる。2月14日の記者会見では「現時点からプラントが完成するまでのコストを保守的に積みあげた」と同社の畠澤守・執行役常務は説明したが、追加損失リスクがゼロになったとはとても言えない。

 WHは発注元の米電力会社から「固定価格契約」で原発の建設工事を請け負っている(東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」)。建設コストが一定額を超えたら、超過分は電力会社ではなくWHが支払う。東芝とWHの想定以上に工事が難航したら、数千億円規模の追加損失が発生するリスクもある。

米ジョージア州ボーグル原発の建設現場

 東芝の原子力事業がなぜこれほどの苦境に陥ったのか。そして今後、立ち直る方法はあるのかどうか――。この答えを知るため、日経ビジネスは誌面とウェブサイトを通じて情報提供を求めてきた。それに応じる格好で、2016年冬以降、東芝の現役社員を含む数十人の関係者から内部告発が寄せられた。

 複数の取材を基に導いた結論は次の通りだ。

 東芝が生き残るには、WHにチャプター11(米連邦破産法11条)を適用し、原発建設から撤退するほか道はない。

 理由は大きく2つある。「米国で建設中のAP1000(注:原子炉の型式)には設計に関する問題がある」。そして「今のWHの体制では、納期通りに建設するのは難しい」。

 東芝は親会社としてWHの債務を保証している。破産法を申請して原発を完成できないまま撤退すれば、8000億円近くの違約金を支払うよう米電力会社から求められる恐れがある。財務状況が厳しい東芝にとって容易に取れる選択肢ではない。それでもなお、原発建設から撤退した方が傷は浅くなると、複数の関係者は指摘する。

 これから、東芝の原発事業が落ち込んでいった“底なし沼”を掘り起こしていこう。

コメント10件コメント/レビュー

東芝の原発事業の問題はほぼ全容が理解出来ました、取材お疲れ様でした。
本件に絡んで個人的に気になっているのは以下の二点です。
・2000年代後半から国策になったインフラ輸出は投下した(今後する)資本に見合った利益を出せているのか?(むしろ不良債権化する事例の方が多いのではないか?)
・先進国のインフラは(更新も含めて)今後維持可能なのか?(技術者人口の低下に伴いコスト的に不可能になるのではないか?)
折しも、トランプ政権のインフラ整備政策に日本から多額の投資がなされる事になっています。
どうせ政府は(かつての東芝がそうであったように)高い売上と利益が日本にもたらされるという発表しかしないでしょうし、国会もそれを追認するだけでしょう。
結局、安保維持のために不良債権化する事を覚悟で投資するしか無いのかも知れませんが、後世のためにも、本当に回収の見込みがあるのか第三者視点での検証しておく必要があると考えます。(2017/03/14 12:39)

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「東芝存続には、WHの“破産”以外に道はない」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

東芝の原発事業の問題はほぼ全容が理解出来ました、取材お疲れ様でした。
本件に絡んで個人的に気になっているのは以下の二点です。
・2000年代後半から国策になったインフラ輸出は投下した(今後する)資本に見合った利益を出せているのか?(むしろ不良債権化する事例の方が多いのではないか?)
・先進国のインフラは(更新も含めて)今後維持可能なのか?(技術者人口の低下に伴いコスト的に不可能になるのではないか?)
折しも、トランプ政権のインフラ整備政策に日本から多額の投資がなされる事になっています。
どうせ政府は(かつての東芝がそうであったように)高い売上と利益が日本にもたらされるという発表しかしないでしょうし、国会もそれを追認するだけでしょう。
結局、安保維持のために不良債権化する事を覚悟で投資するしか無いのかも知れませんが、後世のためにも、本当に回収の見込みがあるのか第三者視点での検証しておく必要があると考えます。(2017/03/14 12:39)

東芝問題に関しては収集した匿名の密告が日経ビジネスの売りだが、WHに対するガバナンスの内情など東芝特有の問題に関しては密告ベースでも仕方ないにせよ、原発技術についても密告のみを記事のソースとするのは疑念が残る。
技術に関しては東芝だけの問題ではないのだから、同業他社や原発関連企業からも広く取材できるのではないか?
十数万人の東芝グループから出た数十人の密告情報は貴重ではあるが、取り扱いは慎重になるべきかと思う。(2017/03/14 10:51)

WHの破産なんて、絶対にあり得ません。

そんなことになれば日米間の通商外交問題になるのは必至。首相の意向を忖度したお役人が、破産なんて許すはずもありません。

もう一点は(勝手な空想ですが)、WHに何か探られたくない爆弾が潜んでいる可能性。破産してそれが白日の下に晒されたくないから、東芝は優良事業を切り売りしてまで原子力事業を手元に抱えていなければならないのかも知れません。この場合、日米の公訴時効を迎えるまで東芝本社の寿命が保つかどうかが、焦点です。

経団連だって元会長がお縄を受けては、体面が汚れます。オール経済界の意向として、連結で19万人の東芝従業員を路頭に迷わせても、役員を塀の中に入れるわけには行きません。(2017/03/13 13:39)

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