• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

東芝粉飾決算「利益水増し」なぜできたのか

価格4~8倍で販売「バイセル取引」の中身

2016年7月22日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 この記事は、「日経ビジネスベーシック」のコーナー「もやもやニュース、すっきり解説」からの転載です。詳しくはこちらをご覧ください。
 東芝の不正会計が発覚してから、約1年が経過しました。利益の水増し額は合計で2306億円にのぼり、複数の経営陣が引責辞任に追い込まれました。巨額の「粉飾決算」と呼んでも差し支えない会計操作で、証券取引等監視委員会が刑事告発を視野に調査を進めてきました。焦点になっているのがパソコン事業の「バイセル取引」です。東芝はなぜ“打ち出の小槌”のように見かけの利益を増やせたのでしょうか。

 東芝はなぜ不正会計に手を染めたのか。結論から先に言えば、稼ぐ力を失った事業の内情を外部の目から隠そうとしたのが理由です。

 経営不振の実態が明らかになると、株価が下落するだけでなく、株主や投資家からリストラを迫られることにもなります。東芝の経営陣はそうした事態を恐れ、決算書類をごまかすことで問題を先送りしてきたのです。

 ではどのようにして、利益を水増ししてきたのか。不正の金額が最も大きかった、パソコン事業を例に見ていきましょう。

ノートパソコンの先駆者が陥った苦境

 東芝は1985年、世界で初めてノートパソコンを世に送り出した業界の先駆者です。しかし、2000年代後半になると業界構造が大きく変わります。パソコンが企業や家庭に広く行き渡り、機能やブランドよりも価格が重視されるようになりました。米IBMは2005年に中国レノボ・グループにパソコン事業を売却。日立製作所もパソコン製造から撤退しました。

 高いシェアを武器にスケールメリットを追求する一部のメーカーが勝ち組となる一方、東芝はこの流れに対応しきれませんでした。

 東芝のパソコン事業に在籍していた幹部はこう言います。「個人向けパソコン事業は赤字が続き、社内では常に売却や撤退が取り沙汰されていた」。

 にもかかわらず、東芝の歴代経営陣は抜本的な対策を取りませんでした。むしろ「バイセル取引」といった手口を悪用して、不振を覆い隠してきたのです。

500億円超を水増しした「バイセル取引」

 東芝はパソコンの組み立てを、台湾などの組み立てメーカーに委託していました。こうしたメーカーはODM(受託製造業者)と呼ばれます。

 受託製造業者は東芝と比べて、経営規模が見劣りします。そこでパソコン事業では液晶や半導体などの部品を東芝が安く調達し、受託製造業者に再販していました。東芝は安く部品を調達する一方で、その原価を隠すため通常より高い値段で受託製造業者に売っていました。この差額を「マスキング」と呼びます。

 受託製造業者はその部品を使ってパソコンを組み立て、マスキングによる上乗せ金額も含めて完成品を東芝が買い戻します。そして最終的に、東芝が消費者に販売します。この取引自体は「部品の有償支給」と呼ばれ、自動車会社なども導入している一般的なものです。

 しかし東芝は、この取引の盲点を突きました。

「東芝 粉飾の原点」のバックナンバー

一覧

「東芝粉飾決算「利益水増し」なぜできたのか」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長