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米中対立、国家資本主義 VS 国家資本主義

「PTA包囲網」による中国封じ込めは危うい選択

2017年1月11日(水)

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 ドナルド・トランプ米大統領の登場は世界をリスクにさらすことになるが、なかでも米中対立は最も深刻である。第2の経済大国である中国を為替操作国とし中国の対米輸出に高関税を課すといった対中強硬姿勢は、海洋強国を掲げる中国の海洋進出をあおる恐れがある。経済と安全保障の複合危機を招きかねない。なによりトランプ次期大統領が個別企業への介入主義に傾斜すれば、「国家資本主義」対「国家資本主義」の対立に発展する危険がある。それはグローバル経済を揺るがすことになる。

「資本主義」対「資本主義」から大転換

 冷戦終結後、経済システムをめぐる対立は「資本主義」対「資本主義」になった。それは「資本主義」対「社会主義」の対立構造の終わりを意味していた。提起したのはフランスの実業家、ミシェル・アルベール氏で、その著書『資本主義対資本主義』はベストセラーになった。米英によるアングロサクソン型の市場経済と独仏など欧州大陸のライン型(集団や合意を重視、投資において中・長期の展望に立ち、社会貢献にも配慮する共同体型)の混合経済の対立である。日本はライン型に属すると分類された。

 もっとも、資本主義の枠内での対立にはそれほど大きな差異は認められなかった。グローバル化が進展するなかで、資本主義のすり寄りが行われたからでもある。経済システムをめぐる論議に衝撃を与えたのは、国家資本主義(ステート・キャピタリズム、国家が資本主義に介入し管理する経済)の台頭である。国家資本主義に寄り掛かる中国が第2の経済大国になるなかで、好むと好まざるにかかわらず無視できない存在になった。「資本主義」対「国家資本主義」の対立である。

 トランプ米大統領の登場はこの経済システム論議に異次元の衝撃を与えることになる。市場経済の先頭を走っていたはずの米国だが、トランプ氏は企業の自由という大原則を無視して個別企業の経営にあからさまに介入している。国家資本主義の中国顔負けの介入主義である。米国版の国家資本主義といえるだろう。

 冷戦後の「資本主義」対「資本主義」から、「資本主義」対「国家資本主義」になり、いま米中による「国家資本主義」対「国家資本主義」の時代を迎えたといわざるをえない。

トヨタ自動車やフォードのメキシコでの新工場建設への“恫喝”など、トランプ氏のツイッターでの発言により、メキシコでの事業リスクが顕在化してきた(写真:Drew Angerer/Getty Images)

メキシコから中国へ飛び火の危険

 トランプ氏の恫喝ともいえる企業に対する介入はいまメキシコに照準を合わせている。メキシコとの国境に壁をつくり、その費用はメキシコに払わせるという大統領選での公約に連動する介入である。まず空調大手、キャリアのメキシコへの工場移転を中止させた。介入は基幹産業である自動車にも広がった。フォードのメキシコでの新工場建設を「恥知らず」となじり、撤回させた。ゼネラル・モーターズにも「メキシコでつくる車には高関税をかける」とすごんだ。

コメント15件コメント/レビュー

>中国の琴線に触れる台湾問題をあえて持ち出せば
こんな言い方をしちゃったら、南シナ海の問題も持ち出せませんな。どんどん増えている核心的利益に対して触れる事すら出来ないなら、世界中がチャイナのモノになってしまいます。(2017/01/22 21:35)

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「米中対立、国家資本主義 VS 国家資本主義」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト
明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー

1969年早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授などを歴任。2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>中国の琴線に触れる台湾問題をあえて持ち出せば
こんな言い方をしちゃったら、南シナ海の問題も持ち出せませんな。どんどん増えている核心的利益に対して触れる事すら出来ないなら、世界中がチャイナのモノになってしまいます。(2017/01/22 21:35)

なぜ中国が国家資本主義なのでしょうか?
彼ら自身は、共産党がすべてを指導すると言っているのに。

せいぜいが市場共産主義ではないのですか。

共産主義が指導している国を国家資本主義と呼ぶ理由はなんなのでしょうか(2017/01/17 18:48)

取り上げられるテーマそのものには関心があり、部分的には着目できる視点もあるが、毎度、中国との融和に導こうとする拘泥した結論を繰り返す記事は、途中で読む気が失せるようになった。ただ、読者の評価が毎回、そうした底の浅さを見抜いた賢明な結果になっていることは、救いである。(2017/01/13 16:11)

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三品 和広 神戸大学教授