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トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか

誤った経済観を正すとき

2017年2月21日(火)

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 ノーベル経済学賞の授賞者を多く輩出している米国の経済学者たちがトランプ政権下で冬の時代を迎えている。経済政策の理論的支柱であるはずの大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の座はいまだに人選されていない。トランプ政権が繰り出す「米国第一」の保護貿易主義や個別企業への強制介入は、経済学の基本原則を大きく踏み外している。にもかかわらず、米経済学者の警告はあまり聞かれない。トランプ流排外主義は、世界経済を停滞させ、結局、米国経済を悪化させる。米経済学者には経済学の基本原理をトランプ政権に説く重い責任がある。

エコノミスト不在のトランプ政権

 「ドル高がいいかドル安がいいか」。トランプ大統領からの真夜中の問い合わせに、ロシアへの経済制裁解除をめぐって疑惑をかけられていたマイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官は戸惑ったはずだ。「わかりません。エコノミストに聞いてください」と答えたという。聞く方も聞く方なら、答える方も答える方である。これがトランプ政権の中枢でのやり取りだとすれば、あまりにお粗末である。

 フリン氏はこのあと、ロシア疑惑で辞任に追い込まれたのだから、二度とご下問はないだろうが、大統領の質問に答えられるまともなエコノミストがトランプ政権にはいないことを如実に示す結果になった。

 トランプ大統領は「経済学者不要論者」なのかもしれない。だいいちCEA委員長のポストをどうするか真剣に考えた形跡はない。CEA委員長は米連邦準備理事会(FRB)議長への登竜門ともいえる重要なポストである。長くFRB議長をつめたアラン・グリーンスパン氏をはじめ、ベン・バーナンキ前議長、ジャネット・イエレン現議長もCEA委員長経験者である。ほかにもノーベル経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授、グレン・ハバード教授ら有力経済学者がCEA委員長をつとめている。単なる政権のお飾りではなく、政権の経済観のバックボーンであり、大統領の経済指南役として重要な役割を担ってきた。

ジョセフ・スティグリッツ教授=2016年(写真:Polaris/amanaimages)

 トランプ大統領は、経済学者から指南など受けたくないということだろう。大統領の経済感覚がまともなら、それでも問題は小さいかもしれないが、大統領が経済の現実からかけ離れた誤った経済感覚にとらわれているとすれば、世界経済にとって大きなリスクである。

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「トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト
明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー

1969年早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授などを歴任。2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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