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米国こそ「為替操作国」ではないのか?

ドル特権を乱用するトランプ政権

2017年4月25日(火)

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トランプ米大統領は、「ドルは強くなりすぎている」と繰り返し話し、ドル高相場をけん制している。米大統領による異例の通貨高けん制は市場の波乱要因となっている。(写真:ロイター/アフロ)

 米財務省は、対米貿易黒字が多い中国、日本、ドイツなど6カ国・地域を為替監視対象に指定したが、中国を制裁対象の「為替操作国」に認定するのは見送った。しかし、トランプ大統領は「ドルは強くなりすぎている」と繰り返し、世界の外為市場を揺さぶっている。これは基軸通貨国の首脳として異例ともいえる「口先介入」である。トランプ大統領は就任以来、個別企業の経営にも積極的に介入しており、中国顔負けの「国家資本主義」に傾斜している。外為市場への口先介入もその一環といえる。米国こそが「為替操作国」ではないのか。

トランプ流「国家資本主義」

 米政府が中国を「為替操作国」に認定するというトランプ大統領の公約を棚上げしたのは、大統領が想定していた意図的な人民安誘導どころか、中国は資本流出を食い止めるため人民元を買い支えざるをえなくなっているからである。それに北朝鮮問題の打開で中国の北朝鮮への圧力がカギを握っているだけに、対中関係全体をにらんで配慮した面もあるようだ。「為替操作国」の認定に政治的恣意が働いているのはたしかである。

 中国は人民元の国際通貨化をめざしているが、変動相場制の導入にはなお慎重だ。人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨にはなったが、本物の国際通貨にはなお遠い。それだけに、日米欧先進国が国際通貨の安定のために中国の通貨改革に口出しするのは当然である。

 しかし、「とてつもない特権」(米カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン教授)をもつ基軸通貨国が自国優先で外為市場に口先介入するのは、危険極まりない。それも「通貨マフィア」のささやきの範囲にはとどまらず、世界で最大の権限をもつ米国大統領の口先介入となれば、影響は計り知れない。

 「ドルは強くなりすぎている」というトランプ大統領の発言を中和するかのように、ムニューシン財務長官は「長期的には強いドルが重要だ」と述べているが、トランプ政権の本音がどこにあるかは、だれの目にも明らかだ。

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「米国こそ「為替操作国」ではないのか?」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト
明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー

1969年早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授などを歴任。2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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