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トランプ発の貿易戦争、最大の敗者は米国

信認失い世界で孤立、試される日本の外交力

2018年6月5日(火)

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貿易戦争を仕掛ける米国のトランプ大統領。だがリスクは自国に跳ね返る(写真:AP/アフロ)

 貿易戦争に勝者はいない。しかし、はっきりしているのは、世界中を相手にトランプ発の貿易戦争を仕掛けた米国が「最大の敗者」になることだ。トランプ政権は、鉄鋼・アルミニウムに高関税を課す輸入制限を一時猶予していた欧州連合(EU)、カナダ、メキシコにも拡大した。高関税を自動車にまで課すことも検討している。これに対して、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議は6カ国がトランプ政権の保護主義に集中砲火を浴びせ、米国は孤立に追い込まれた。

 世界最大の経済大国の保護主義による貿易戦争は、世界経済に大きな打撃を及ぼす。それは米国経済を直撃するだけでなく、超大国の信認を失墜させる。貿易赤字を2国間で解消しようする誤った思考は、トランプ政権の反経済学の姿勢を世界に露呈している。

G7で米に集中砲火

 カナダ西部のウィスラーで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は、異例づくめの会合になった。本来、世界経済や金融・通貨情勢について話し合う会議だが、議論は貿易問題に絞られた。アルゼンチンの通貨安、イタリアやスペインの政治混乱による南欧リスクなど緊急課題は素通りし、トランプ政権の保護主義に批判が集中した。

 トランプ政権が鉄鋼・アルミの輸入制限をEUと北米自由貿易協定(NAFTA)を構成するカナダ、メキシコに拡大し、これらの国・地域が報復措置を打ち出すことになったばかりだ。このトランプ発の貿易戦争の拡大は、世界経済に影響するだけに、G7財務相・中央銀行総裁会議でも最重要の討議テーマにせざるをえなかった。共同声明は出されなかったものの、議長声明で米国を名指しで批判したのも異例である。

 最も強く反発したのは、NAFTA再交渉中のカナダだった。モルノー財務相は「米国の考え方はばかげている」とまで述べた。鉄鋼生産の4割強が対米輸出だけに、直接的影響が大きい。対米批判の先鋒役を担ったのは当然である。フランスのルメール経済・財政相が「世界経済に危険な結果をもたらす」と警告すれば、ドイツのショルツ財務相は「国際法違反だ」と批判した。

 安倍・トランプの蜜月関係からトランプ政権には遠慮がちの日本もさすがにこの国際潮流に乗り遅れるわけにはいかなかった。麻生財務相も「一方的な保護主義的措置はどの国の利益にもならない」と警告の列に加わった。

コメント14件コメント/レビュー

自国通貨で決済できる国が貿易赤字は困るってどういう意味なんだろうか? 国債売って帳尻合わせが出来て羨ましいよね。 本質的に「貿易立国」とかにならなくて良いんだものなぁ。(2018/06/08 01:21)

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「トランプ発の貿易戦争、最大の敗者は米国」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト/武蔵野大学 国際総合研究所 フェロー

1969年 日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授、明治大学 国際総合研究所 フェローなどを歴任。2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

自国通貨で決済できる国が貿易赤字は困るってどういう意味なんだろうか? 国債売って帳尻合わせが出来て羨ましいよね。 本質的に「貿易立国」とかにならなくて良いんだものなぁ。(2018/06/08 01:21)

多くの人が米国(トランプ)の主張を理解していない。不公平な関税と指摘されているのは、日本の消費税や欧州の付加価値税である。輸出を免税として、仕入に係る消費税を補助金の如く還付して、輸出企業を優遇している税制である。消費税のない米国では、消費者から輸入に対する税金を不当に徴収することができないので、やむをえず関税を課すのであって、輸入品に対して消費税を課税している日本とは違うのである。
税に対する根本的な考え方が違うので、現在のような貿易戦争と呼ばれる状態になるのであって、輸入に依存して自国の生産性を低下させる国家が将来的に衰退していくのを「国家安全保障の脅威」と表現しているのである。
日本の消費税における輸出還付制度を見直せば、消費税10%への理解もまだ得られるが、国内批判対策に軽減税率制度を導入しているようでは、米国からの非難は収まらないと思われる。(2018/06/07 03:37)

グローバル経済で万事うまくいくなら、世界はとっくにEUになってますね。
現実は参加国内で貧富の差が生まれ、先達であるEUすら空中分解寸前。

国単位で金持ちと貧乏が分かれるのがグローバル経済。共産主義思想と同じで、理想と現実とは違う。
ここで野放しにグローバル経済を賛成できるのは、おいしい思いをしてる国/会社ぐらい。

日本も損を引いてる国の側なので、日本人ならグローバル化にいい思いはないはずなんですが。

日本人なら……ね。(2018/06/06 09:46)

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