車は「EVシフト」、世界は「EUシフト」

欧州発の新時代

  • 岡部 直明
  • 2017年09月20日
9月13日、仏ストラスブールの欧州議会で演説する欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長。英国の離脱で結束が揺らぐEUの立て直しに向けて欧州統合の深化を訴えた。(写真:ロイター/アフロ)

 自動車は「EV(電気自動車)シフト」がめざましい。英仏がそろってガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を打ち出したのをきっかけに、欧州はじめ世界の自動車メーカーで開発熱が一気に高まった。情報技術(IT)企業などを巻き込むクルマ革命の様相だ。一方で、混迷する世界では、「EU(欧州連合)シフト」が目立ってきた。ユーロ危機に苦しみ、難民問題に苦闘するEUだが、英国の離脱とトランプ米大統領の排外主義が反面教師になって、独仏主導で結束の動きが強まった。米国の信認低下で「グローバル・ソフトパワー」としてEUは頼りがいのある存在に浮上している。ビジネスと国際政治の新時代は「欧州発」で起きている。

英仏先行のガソリン・ディーゼル車禁止

 「EVシフト」へ大きくハンドルを切ったのは英仏である。2040年までに、ガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。これはガソリン・ディーゼル車の市場を席巻する日米独の自動車産業に挑戦する狙いも込められている。

 この英仏の戦略に中国など新興国も連動する。中国は英仏の新方針を受けて、40年までにガソリン車などの販売・製造を禁じることを検討し始めた。インドは30年までに新車販売をEV車に限定する目標を掲げる。

 これに対して、自動車大国、ドイツのメルケル首相は、ディーゼル車の改造とEV車への投資の「2正面作戦」が必要だと訴えている。24日の総選挙を目前にして、足元の雇用に響きかねない全面的なEVシフトには慎重な姿勢を示すしかなかったのだろう。それだけ欧州中心に起きたEVシフトの奔流の大きさを物語っている。

EV化に生き残りかけるメーカー

 クルマ革命は自動運転など広範な技術分野に及ぶが、その柱はEV化だろう。独フォルクスワーゲン(VW)のマティアス・ミュラー社長は日本経済新聞記者のインタビューで、2025年にEV車の全世界での販売目標を300万台とし、その半分の150万台を中国で販売する目標を明らかにした。50数車種のEV車を世界で販売するという。

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