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車は「EVシフト」、世界は「EUシフト」

欧州発の新時代

2017年9月20日(水)

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 VW社のEV化方針はディーゼル不正で世界から批判を招いたという反省が背景にあるとみられるが、世界最大の自動車メーカーのEVシフトは、世界の自動車市場のEV化を決定づける可能性がある。

 仏ルノー・日産自動車は2022年までに完全自動運転車を実用化するとともに、販売台数に占めるEV車の比率を3割にする目標を打ち出した。スウェーデンのボルボ・カーは19年以降の新車はすべてEV車にする方針を表明した。EVシフトが鮮明になるなかで、ハイブリッド車での成功体験をもつトヨタ自動車が潮流変化にどこまで対応し、さらに先取りできるかが試されている。

再び追い風受けるEU

 語呂合わせではないが、車の「EVシフト」と世界の「EUシフト」は同時進行している。EUのユンケル欧州委員長は仏ストラスブールの欧州議会での施政方針演説で「EUは再び帆に風を受けている。BREXIT(英国のEU離脱)をチャンスととらえて、団結を強めるべきだ。英国はBREXITを後悔することになるだろう」と胸を張った。ユーロ危機がくすぶり、英国の国民投票でEU離脱が決まった陰鬱な昨年とは様変わりの高揚ぶりだった。

 EUはここ数年危機に見舞われてきた。ユーロ危機はPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)という弱い輪に連鎖した。深刻な連鎖危機はようやく収束したが、ギリシャの債務危機はなお深刻で、イタリアには銀行危機が残っていた。

 欧州各国ではフランス、オランダというEUの原加盟国も含め極右ポピュリズムが台頭した。そこへ英国のEU離脱決定である。排外主義を掲げるトランプ大統領の登場でポピュリズムの連鎖が懸念された。EU域内の移民問題や深刻化する難民問題を背景に、英国に続いてEU離脱のドミノが起きるのではないかと真剣に心配された。

 そうした懸念が払しょくされたのは、フランスで極右の国民戦線、ルペン氏を退けて、若きマクロン大統領が誕生したことが大きかった。BREXITをめぐる英国内の混迷やトランプ米大統領による米国の威信失墜が反面教師になった。さすがに就任当初のマクロン人気は剥げ落ち、支持率低下が目立つが、それは労働市場改革や歳出削減など痛みを伴う措置を相次いで打ち出しているからだ。評価すべき不人気だといえる。

 一方でメルケル独首相は4選を確実にしている。その安定感は欧州屈指であり、世界の指導者にふさわしい。メルケル首相とマクロン大統領の「MMコンビ」による独仏連携を軸に、EUは再生に向けては大きく動き出せる情勢になってきた。

コメント16件コメント/レビュー

まあ,常識的な意見でしょう。「ヨーロッパ好き」の意見としては心地よく,特に得るものは無いが異論もない論説です。議論を明確化する意図もあるのでしょうが,「米国の時代」が終わりを告げているという意見もある部分では同意できるが,すべて丸のみするには違和感がある。「主役無き時代」もその通りで,EUも主役になるには程遠い。結局これからの世界は「戦国時代」になるのだと理解している。「戦国」といってもこの「戦」が「熱い戦争」を意味するわけではない。また「国」というのも従来の国家ではない。新しい概念でプレーヤーがこれから成長し,新たな概念の「戦い:競争」が繰り広げられていくのだと理解している。その理解からは,今回の記事はややEUによりすぎていて偏りを感じる。「オリエント」やアフリカ,中国,インド,その他のアジア,ロシア,南米,北米,日本,etc.の繰り広げる台本の(まだ)ないドラマについてそのアウトラインと中心テーマを見つけ出し記事にしていただければもっと面白いと思う。(2018/02/20 17:59)

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岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト
明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー

1969年早稲田大学政治経済学部を卒業し、日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、経済部次長、金融部次長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授などを歴任。2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まあ,常識的な意見でしょう。「ヨーロッパ好き」の意見としては心地よく,特に得るものは無いが異論もない論説です。議論を明確化する意図もあるのでしょうが,「米国の時代」が終わりを告げているという意見もある部分では同意できるが,すべて丸のみするには違和感がある。「主役無き時代」もその通りで,EUも主役になるには程遠い。結局これからの世界は「戦国時代」になるのだと理解している。「戦国」といってもこの「戦」が「熱い戦争」を意味するわけではない。また「国」というのも従来の国家ではない。新しい概念でプレーヤーがこれから成長し,新たな概念の「戦い:競争」が繰り広げられていくのだと理解している。その理解からは,今回の記事はややEUによりすぎていて偏りを感じる。「オリエント」やアフリカ,中国,インド,その他のアジア,ロシア,南米,北米,日本,etc.の繰り広げる台本の(まだ)ないドラマについてそのアウトラインと中心テーマを見つけ出し記事にしていただければもっと面白いと思う。(2018/02/20 17:59)

NBOのレベルを毀損するような記事と思われ、残念です。

EUに関してもEVに関しても、政治家から出された声明等の裏読みも裏取りもしないまま、単純にアチコチの上方とつなげてストーリー化したものを記事とするとは、呆れます。

もし、それらの裏が解っていてこの様な記事を書くとすれば、マスメディアにプロパガンダを載せるというジャーナリズムの自殺行為を容認しているのかと疑ってしまいます。

鈴置氏の様な高い識見を持つ方もいらっしゃればこの岡部氏なるお粗末な見解を述べる方もいらっしゃるとは、将に玉石混合のNBOの執筆者群ですね。(2018/02/07 11:45)

日経新聞が岡部氏を取締役論説主幹、専務執行役員主幹としてポストを与えている経営判断が理解できない。株式を公開していないだけに、取締役人事には自浄能力が備わってこその経営判断となるはず。しかし、彼のコラムほど、読者が記事に反対意見を書いているものはない。賛同する意見が殆ど無いコラムというものはやはり偏りすぎているか、或いは事実の裏付けがないことが書かれているからでしょう。私がもしも日経新聞の株主総会で役員信任に対する投票権があるとすれば、岡部氏を信任することはありえない。(2017/12/25 09:47)

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