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身動き取れぬ日米欧の金融政策、中銀頼み限界に

もたつく「大幅緩和からの出口戦略」

2016年10月12日(水)

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 日米欧の金融政策は身動き取れない状況に陥っている。デフレ脱却をめざす黒田日銀だが、マイナス金利拡大にも量的緩和拡大にも踏み込めず、長短金利操作のため国債購入の減額に動き出した。「ステルス・テーパリング」(見えざる量的緩和縮小)との見方もある。

 米連邦準備理事会(FRB)は9月の利上げをまた見送った。米国景気の減速気配のもと、FRBは出口で立ち往生している。マイナス金利導入を先導した欧州中央銀行(ECB)は、ドイツ銀行危機など影響が広がるなかで緩和拡大にも縮小にも動けなくなっている。緩和マネーが格差を生むなかで、中央銀行頼みの限界がはっきりみえてきた。

黒田日銀総裁による金融緩和は転機を迎えた。「総括的な検証」を実施し、「量から金利」への転換を図った。(写真:都築雅人)

黒田「総括」はテーパリングか

 アベノミクスの第一の矢を担わされた黒田日銀総裁による金融緩和は転機を迎えている。当初の異次元緩和は、市場へのサプライズ効果も相まって円安・株高をもたらし、デフレ心理を和らげた。しかし、ショック療法は長続きしなかった。とりわけ、マイナス金利の導入は、消費などマクロ経済、金融機関経営、金融市場に悪影響を与え、副作用が目立ってきた。

 黒田緩和が狙ったサプライズ効果は、財務省財務官時代に取った市場介入では定石だが、市場との対話が欠かせない金融政策では邪道である。マイナス金利の突然の導入は黒田緩和のマイナス面がはっきり表面化したことを示している。

 黒田緩和の「総括的な検証」が求められたのはこのためだ。物価2%目標の未達成では言い訳や相変わらずの強弁が目立つが、マイナス金利の副作用を認めたのは評価できる。この総括的検証を受けて、金融政策は「量から金利」へ転換することになった。

 「長短金利操作付きの量的質的金融緩和」への転換である。もっとも、この長ったらしい言葉から金融政策はいったいどちらの方向を向いているのか理解しにくい。マイナス金利を維持したうえで、10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する方針だ。そのために、年間80兆円の国債購入を減らすこともあるとしている。黒田総裁は否定しているが、これは事実上のテーパリングともいえる。

 日銀政策委員会内で岩田副総裁らいわゆるリフレ派が抵抗したとみられるのも、金融政策の転換を物語る。

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最近の日本のメディアはどれを見ても日銀の限界論を取り上げているが、次回サプライズ前の「弱ったふり」作戦の一環だろうか。(2016/10/12 15:20)

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「身動き取れぬ日米欧の金融政策、中銀頼み限界に」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト/武蔵野大学 国際総合研究所 フェロー

1969年 日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授、明治大学 国際総合研究所 フェローなどを歴任。2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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新谷 美保子 TMI総合法律事務所弁護士