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キヤノン電子・酒巻社長直伝「本物の時短」とは

「働き方改革、このままでは日本の未来が危うい」

2017年7月24日(月)

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 多くの企業で取り組む働き方改革。残業撲滅に向けて「20時強制退社」といったように、時間制限をして退社を促す企業が増えてきた。だが生産性を向上する取り組みをしないため、仕事をやり残したまま退社してしまうことも多いと言われている。

 こうした状況を約20年前から働き方改革を実践するキヤノン電子の酒巻久社長はどうみているのか。酒巻社長は1999年にキヤノンより就任し、キヤノングループ内の普通の部品メーカーだった同社を利益率約10%の優良企業へと変貌させた。働き方改革を定着させるポイントを聞いた。

キヤノン電子の酒巻久社長(撮影:北山宏一、以下同)

多くの企業が働き方改革に取り組んでいる。現状をどうみているのか。

酒巻:多くの企業で行われている働き方改革をみていると、日本の未来が危うい気がする。私は1999年にキヤノン電子に転じてから、働き方や管理職の意識改革を進め、6年間で利益を約10%へ押し上げた。その柱はただ残業を規制したのではなく、生産性向上の取り組みとセットでやってきた。

 多くの企業が実践しているような勤務時間を制限しただけでは無理で、生産性を高める工夫が不可欠だと思う。ましてや働き方改革なんてすぐに浸透するものではない。10年以上やってもまだ途上でしかない。

働き方改革にいつ頃から着目していたのか。

酒巻:私は40年前から働き方改革を考えていた。当時キヤノンの生産本部で働き、時短戦略を提案した。勤務時間の長さではなく、成果で評価すべきだと考えていた。だが当時は受け入れられなかった。キヤノン電子の社長になって多くのアイデアを実践してきた。

パソコンの使い方に厳しいルール

具体的にはどのような取り組みをしているのか。

酒巻:働き方改革の大きな柱は生産性を高めるために徹底的に無駄を排除することだ。遅々として改革が進まないと困るので、ルールで縛り変革するよう追い込んできた。

 そのルールは一般企業からみればかなり厳しい。やはり時短で成果を挙げるには勤務中はしんどい。

 具体的には始業開始から30分間、パソコンの使用を禁止している。一般的にありがちな行動は、パソコンを立ち上げメールに返信することだと思う。メールの返信は受動的で何も生み出さない。工場勤務者は始業前に当日の段取りを考えている。一方で事務職は会社に着いて30分もメールで「遊ぶ」なんておかしい。

 では30分間、何をすべきなのか。管理職であれば、自分の指示が部下にきちんと伝わっているか確認する。会って話をすべきだと話す。このルールを徹底するため、同じフロアでメールを送ったことが発覚した場合、3回でパソコンを没収、5回で降格となる。話せば30秒で終わることを長々とメールで送っていることがコスト意識が足りない証拠だと思っているからだ。

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「キヤノン電子・酒巻社長直伝「本物の時短」とは」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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