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“ミスター円”が語る「分裂の時代」

重視すべきは、成長ではなく「成熟」

2016年7月25日(月)

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 日経ビジネス7月25日号は「英離脱後の世界 日本も直撃『失われる10年』」と題した特集で、欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の現状と、今後の世界経済に与える影響を分析した。
 欧州に亀裂を生んだ通貨統合の問題や、世界経済が抱える低成長という共通課題について、元財務官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資・青山学院大学特別招聘教授に話を聞いた。

(聞き手は杉原 淳一)

英国が欧州連合(EU)からの離脱を決定しました。元財務官として、この事態をどう見ていますか。

榊原英資氏(さかきばら・えいすけ)
1941年生まれ。東京大学経済学部卒、65年に大蔵省(現・財務省)へ。理財局総務課長や国際金融局長(現・国際局長)などを経て97~99年に財務官。積極的な為替介入で円高を是正し、「ミスター円」と呼ばれる。榊原氏の次に財務官に就任したのが、黒田東彦氏(現・日銀総裁)だった。 (撮影:北山 宏一)

榊原:識者の目から見れば、あの選択は明らかに間違いなんです。キャメロン前首相の言っていたことの方が正しいわけですよ。でも、国民投票にしてしまうと、どうしても身近な問題に左右されて、単純化してこういう結果になってしまう。やっぱり、代議制というのはそれなりの意味があるんです。国民投票なんて、しょっちゅうやってはいけないんですよ。(笑)

 英ポンドとユーロが相当値下がりしており、英国及び欧州には中長期的にネガティブな影響が間違いなく及ぶでしょう。英・欧州と貿易量の多い中国は、以前から成長率が下がってきていますから、これをさらに下押しする可能性があります。そうなってくると、ドミノ式に日本への影響も出てきます。

 ドル円相場はいずれ1ドル=100円を突破すると思います。今は介入警戒感もあって何とかもっていますが、流れとしては緩やかな円高でしょう。さらに90円に向かうというのがいま想定されるシナリオです。為替介入もしにくいですしね。

「黒田日銀は年末までにもう一回、緩和する」

財務官時代には積極的な為替介入に踏み切りました。介入の可能性についてはどうお考えですか。

榊原:単独介入は効き目がありません。だから米国の合意が必要になるのですが、今の為替水準では無理でしょう。市場に見透かされると、もう介入そのものが効かなくなる。介入の規模は、為替市場から見ればそんなに大きな額ではないです。だからこそ、「これが効くんだ」ということを何らかの形で市場に示さないといけないわけですよね。市場が「もう参った」と言うまでやらなければ介入なんて意味はないんです。

日銀の黒田東彦総裁は「円安誘導ではない」と否定していますが、そうなると追加金融緩和に期待が集まりますね。

榊原:もう緩和効果が賞味期限切れなんですよ。2013年に黒田さんが就任して、当初の金融緩和は成功しました。円安・株高になったんですが、それが足元では逆に円高・株安になってきています。「金融政策を打ってもそれほど効かないだろう」という、雰囲気になってきてしまいました。

 離脱問題を受けて円高が進むと、日本経済の予想成長率が下がるので、景気回復を後押しするための金融緩和だということになる。おそらく、年末にかけて黒田さんはもう一回、緩和するでしょう。でも、これは既に織り込まれていますよね。だから、市場の予想を上回るようなことをやらないといけないから、なかなか難しいでしょう。

 やらないと、市場では逆にショックと受け止められます。円高・株安がさらに進行するような事態になりかねない。市場に押されて動くのを黒田さんは好まないでしょうけど、やらざるを得ないでしょうね。

コメント6件コメント/レビュー

”ミスター円”らしい発言だと感じた。記事も当たり障りのない一般論的なところで止まっていて特段の目新しさはない。消費税20%というのも「いつまでに?」というところが問題なだけでそこは言及がない。「再配分」というが,「タックスヘブン」に象徴される「底の抜けた」ような仕組みで再配分を試みてもはたしてどこまで有効に「集め」られるのだろうか。集めなければ配れない。世界システムの劣化が顕在化して,旧システムで問題解決を図ってもドン・キホーテのようにはならないか。協調介入も難しい,金融政策の協調も難しいなら,G20を発展させるとか,「トランプを落選させる」とかといった夢物語のようなことを現実にしなければ「サプライズ」もそれに伴う「実効性」も実現されない気がする。とはいえ,第一線を離れた”ミスター円”としては控えめに発言するのが「賢者の知恵」ということなのだろうか。(2016/07/25 13:37)

「英離脱後の世界 日本も直撃「失われる10年」」のバックナンバー

  • 英離脱後の世界 日本も直撃「失われる10年」

    2016年7月25日

    “ミスター円”が語る「分裂の時代」

一覧

「“ミスター円”が語る「分裂の時代」」の著者

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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”ミスター円”らしい発言だと感じた。記事も当たり障りのない一般論的なところで止まっていて特段の目新しさはない。消費税20%というのも「いつまでに?」というところが問題なだけでそこは言及がない。「再配分」というが,「タックスヘブン」に象徴される「底の抜けた」ような仕組みで再配分を試みてもはたしてどこまで有効に「集め」られるのだろうか。集めなければ配れない。世界システムの劣化が顕在化して,旧システムで問題解決を図ってもドン・キホーテのようにはならないか。協調介入も難しい,金融政策の協調も難しいなら,G20を発展させるとか,「トランプを落選させる」とかといった夢物語のようなことを現実にしなければ「サプライズ」もそれに伴う「実効性」も実現されない気がする。とはいえ,第一線を離れた”ミスター円”としては控えめに発言するのが「賢者の知恵」ということなのだろうか。(2016/07/25 13:37)

 ずっと低成長という意見には、まったく賛同できません。せっかく低金利なのだから、大規模なインフラ投資をやれば、次世代で生産性が向上し、新たな産業も生まれてくると思います。
 現在でも、新たな産業の芽は生まれています。リニアモーターカーで日本中を結べば、日本中が商業圏として一体化して、生産性が上がります。人が採算ベースで乗らないなら、インドの新幹線のように貨物流通網にすればよいでしょう。建設投資だけでも、相当なGDP向上効果が見込めます。送電網も既に実用化が始まっている高温超伝導での高圧直流電力伝送にして、産業を活性化できるでしょう。また、素材でも、炭素繊維が普及し自動車のボディが全て炭素繊維ベースになっただけでも、莫大な経済効果が見込めます。大規模にカーボンナノファイバーが合成できるようになりつつあるので、今世紀中には、橋梁、建物は全て現在の鉄筋ベースから炭素ベースになるのではないかと思います。核融合はあと何十年も実用化されないでしょうが、されればエネルギー問題も解決、現代文明の化石燃料のエネルギー限界も解決。軌道エレベーターを作って、小惑星のレアメタルや月の表面のHe3を回収……SFの世界ですが、現に、20世紀初めのどこかの新聞社の予測の大半が現実化しているように、研究開発を進めれば十分今世紀中に到達可能と思います。
 ミスターは、文系なので新技術についての頭が硬いのではないかと(苦笑)。(2016/07/25 10:28)

著名な元財務官でもこの程度の認識しかない.これが現在の日本に山積する問題の要因だ.
「成熟」結構なお言葉です.それなら,日本のインフラの再構築に財政支出して内需拡大(=GDPアップ=税収の拡大)に励んで頂きたい.(2016/07/25 10:04)

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