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「創業メンタリティ」は永続的成長の羅針盤

  • 火浦 俊彦

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2016年8月31日(水)

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 コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによる調査分析の結果、持続的成長をなしとげる会社は、事業を軌道に乗せた野心的で大胆な創業者の態度と行動を保持していることが分かっています。このマインドをベイン・アンド・カンパニーは、「創業目線」と呼び、『創業メンタリティ』という書籍にまとめました。創業目線は、成長途上の新興企業が規模と資金力で勝る既存企業と競争するとき優位に立つカギであり、「オーナーマインド」「革新志向」「現場へのこだわり」という3つの要素を含んでいます。

 今回は、創業メンタリティを持って、創業後に急速に成長した日本の有名企業のその後について、図表などを交えながら考察してみます。誰もがその名を知るような偉大な創業者によって設立された日本企業がこれまで世界に躍進していきましたが、そうした有名企業も創業メンタリティを維持し高い成長を持続するのは簡単ではないことが分かります。

「どうした日本企業?」

 筆者がコンサルティングの仕事を始めて、ちょうど今年で満30年になります。書籍『創業メンタリティ』を書いたクリス・ズックや、ジェームズ・アレンとは旧知の仲です。そして、彼らに言われるのが「どうした日本企業?」ということです。

 1980年代半ばに米国のビジネススクールを卒業した彼らにとって、日本企業は賞賛と尊敬の対象でした。多くのグローバル企業が日本企業を研究し、その経営手法を学ぼうとしたのです。その一部は、例えば現場へのこだわりなどであり、この連載が紹介しようとしている「創業目線」や「創業メンタリティ」と重なります。

 過去の日本企業の活動を思い起こされた方も多いのではないでしょうか。当時はトヨタ自動車、本田技研工業、ソニー、パナソニック、シャープなど、まさに偉大な創業者によって設立された日本企業が、創業メンタリティの輝きを保って世界に躍進していた時期でした。ところが、それから30年近くたった今、当時の勢いと輝きは薄れてしまったのです。

 「いったい何が起こったんだ? 世界が一生懸命学んだ優れた経営手法を、どうして日本企業は失ってしまったんだ?」

 ジェームズ・アレンに投げかけられた言葉に私は返す言葉がありませんでした。私は、勢いと輝きの喪失の大きな理由は、日本企業が「創業目線(メンタリティ)」を失ってしまったからだと考えています。先に挙げたような偉大な創業者によって作られた会社も、成長し規模が拡大し、組織が複雑になるにつれ、創業目線が薄れていったのです。

 代わりに巨大な管理機構や仕組みが発達、この仕組みを回して社内調整に汲々とするうちに意思決定・行動は遅れ、そして創業の理念は壁掛けのオブジェとなり、顧客の声すら聞こえなくなってしまいました。

 一方、世界には新たな創業リーダーに率いられた新興企業群が登場し、容赦なく戦いを挑んできます。結果はまさに鴻海によるシャープの買収の際に目にした通りです。日本の第二次大戦前後に勃興し、戦後の荒廃の中にあっても夢と理想を高く、遠く掲げ、まさに「創業目線」を持って急速に成長した第一世代創業企業の、1980年代以降の株主総利回りの推移を見てみましょう(■図1)。

■図1 第一世代創業企業の株主総利回りは低落している

 30年の月日を経て、過去の輝きは薄れてしまいました。この図は日本企業の代名詞だった企業の創業目線が失われていく有様でもあります。さらに言えば、日本経済低落の姿とも重なって見えます。

 創業メンタリティの復活は大企業が輝きを取り戻すためだけではなく、日本経済復活にとっても必須の課題ではないでしょうか。

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