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「大分の奇跡」が示す地方局生き残りの道

異色経営、大分朝日放送が挑む「放送局ブランディング」

2016年9月16日(金)

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大分朝日放送は民放初となる4K放送設備を導入した(撮影:山本巌、以下同じ)

 日経ビジネス9月12日号特集「テレビ地殻変動 ネットTVが作る新秩序」では、インターネット対応に乗り出そうとする在京キー局に「待った」をかける系列地方局の存在について触れた。

 テレビ朝日やTBSなどのキー局は全国にネットワークを構築。傘下に系列の地方局を抱える。キー局はこのネットワークを活用し、「全国で番組を放送します」などと持ち掛け、広告主からスポンサー料を獲得している。スポンサー料は視聴者数などに応じて系列地方局に分配される。このおカネは「ネットワーク費」「電波料」などと呼ばれ、年10億~30億円に上り、地方局の経営を実質的に支えている。

 地方局はネットワーク費の対価として、キー局の番組を流す放送枠を空ける。結果、ローカルニュースや地元の情報番組など地方局が制作した独自番組を流す放送枠は、全体の10%程度にとどまる状況に陥った。

 多くのキー局製作の番組を電波で流している地方局にとって、ネットで東京発の番組が視聴できるようになれば、地元企業からの広告出稿が減ることになる。キー局のネットワーク費、そしてコンテンツに頼らざるを得ない状況が、地方局をネット対応への反発に向かわせているのだ。

「ブランド化は番組制作だけではない」

 だが、今後、スポンサー収入の微減傾向からネットワーク費の削減は避けられない。じりじりと経営が悪化していくのを座して待つ地方局が多い中、大きな賭けに出たのが、大分県のテレビ朝日系列、大分朝日放送だ。

 「インターネットという大きなトレンドにただ身を任せて流されていたら地方局は終わってしまう。地方局が生き延びられるような何か道しるべぐらいは残しておきたい。そういう思いから放送局のブランディングに力を入れようと考えるようになりました」

大分朝日放送の上野輝幸社長。思い切った経営判断で同局の名を全国に知らしめた

 売上高40億円超の小さな局を束ねる上野輝幸社長はこう力を込める。「地方局のブランディング」を図る場合、質の高い独自番組の数を増やすことがまず頭に浮かぶ。だが、上野社長はその考えを明確に否定する。

 「もちろん独自番組の質を高めていくことは必要で、それに取り組んでいます。ですが、現在、うちの自社制作率は10.3%で、系列局の中では10位以内に入る高い水準。これをさらに高めていく、という考えは持っていません」

 「30分番組を週一レギュラーで作れば、年間で3000万円程度かかります。しかもその番組が高い視聴率を稼ぐかどうかは分からない。テレビ局の場合、人気がないからすぐに止めますということはできない。会社の規模、マンパワーを考えれば、今の水準以上に自社制作率を引き上げるのは経営的に無理ですよ」

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「「大分の奇跡」が示す地方局生き残りの道」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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