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やっぱりピロリ菌の除菌で食道がんは増えた?

逆流性食道炎によって起こる食道がんを避けるには

2018年1月10日(水)

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 前回から引き続き、日本人の“新たな国民病”とも言える逆流性食道炎について解説をしましょう。

 逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することによって起きる食道の炎症です。

 日本の環境が清潔になったことや、胃がんのリスクを下げるためにピロリ菌を積極的に除菌していったことによって、日本人のピロリ菌の感染率は激減しています。ピロリ菌が起こす萎縮性胃炎のせいで低下していた胃酸の分泌量は、正常レベル近くまで戻ってきました。

 加えて食生活の欧米化(高脂肪食)や過食によって、胃酸が過剰に分泌されるようになり、逆流性食道炎になる人が急増しています。

 逆流性食道炎は様々な症状を引き起こしてQOL(Quality of life 生活の質)を落としてしまいますが、何より問題になるのは、「食道がんのリスクが上がる」という点です。

 慢性的に炎症が続いている場所では発がんのリスクが上昇します。これは、ピロリ菌による胃炎から胃がんが、ウイルス性肝炎から肝臓がんが生じることとまったく同じです。

 逆流性食道炎が関与するのは、食道がんの中でも「腺がん」というタイプで、欧米の食道がんは、50%以上が「腺がん」です。肥満の多い欧米では、逆流性食道炎からできる食道腺がんが増えていることが深刻な社会問題になっています。

 つまり私たち医療者は、「胃がんのリスクを減らそう」とせっせとピロリ菌を除菌してきましたが、それが逆流性食道炎を増やし、結果的に食道腺がんのリスクを上げている可能性が出てきているのです。

 この点に関して、実は全く予想外のことが起きているというわけではありません。除菌が逆流性食道炎を起こし得るということは、もともと医療者の中でも懸念されていました。

 ただし日本の場合、食道がんの90%以上が「扁平上皮がん」という別のタイプで占められています。「腺がん」は食道がんのごく一部にすぎないため、「欧米人と違って、日本人は体質的に腺がんになりにくいのだろう」と楽観的に考え、あまり問題視されてこなかったのです。

コメント9件コメント/レビュー

この記事は当初から予想されており、除菌に際しては患者に説明されているはずの内容です。名医かどうかなど関係なく、基本中の基本です。子宮頸癌ワクチン騒動に煽られたことを見ても分かるように、日本人はリスクの比較をする科学的考え方に慣れていない人が多いようです。記事には胃癌リスクと食道腺癌リスクの比較が出ていたのは良いことですが、その議論の中心に持っていくべきでしょう。(2018/01/11 12:51)

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「やっぱりピロリ菌の除菌で食道がんは増えた?」の著者

近藤 慎太郎

近藤 慎太郎(こんどう・しんたろう)

医師兼マンガ家 

北海道大学医学部、東京大学医学部医学系大学院卒業。山王メディカルセンター内視鏡室長、クリントエグゼクリニック院長などを歴任。マンガを使って医療をわかりやすく解説。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

この記事は当初から予想されており、除菌に際しては患者に説明されているはずの内容です。名医かどうかなど関係なく、基本中の基本です。子宮頸癌ワクチン騒動に煽られたことを見ても分かるように、日本人はリスクの比較をする科学的考え方に慣れていない人が多いようです。記事には胃癌リスクと食道腺癌リスクの比較が出ていたのは良いことですが、その議論の中心に持っていくべきでしょう。(2018/01/11 12:51)

(2018/01/10 10:25)様

医学や薬学などライフサイエンスも科学の一部ですので、おっしゃるように経験に基づいて過去の知見が改良されていくものであるというご意見には賛同します。しかしそのあとの記述は違うと考えます。経験科学であるがゆえに、新たな知見が得られれば過去の知識に上書きして新しい考え方として活用していくことが重要なのであり、そこに「医者も人間であり、ミスもするし誤診もする」は全く関係ありません。新しい知識が増えたのであって、ミスや誤診ではないのです。貴兄のご意見は、最初の書き出しのみ的を射ていますが、そこからあとは別のことに対して異を唱えており、ここへのコメントとしては不適切です。(2018/01/11 09:27)

話の持って行き方が一部に誤解を招くのではないだろうか。
ピロリ菌の除去で胃がんのリスクは減るが、胃がんほどではなきにせよ食道がんのリスクは高まると不安をあおるのではなく、ピロリ菌を除去したからといって安心するのではなく、正常化した胃酸が食道に逆流しないよう食事や生活に気をつける必要がある、と建設的な言い方をすればよいのでは。(2018/01/11 08:29)

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