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自動運転車のカギを握るイスラエルのヒーロー

創業から17年でモービルアイを時価総額1兆円企業に育てた男

2016年9月20日(火)

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モービルアイの核となる画像認識技術

今年1月に発表した「ロード・エクスペリエンス・マネジメント(REM)」は米グーグルなどが完全自動運転の実現に向けて取り組んでいる3Dマップのデータ量を10万分の1に圧縮するとうたっています。

シャシュア会長:完全自動運転を支援する地図は、非常に細かいデータの集合だ。少しでも道路環境に変化があった場合、即座に現実を反映しなければ意味がない。安全に関わる問題だから、1年間後なんて悠長なことは言っていられない。数分間でデータを更新しなければならない。

 REMの技術は(不特定多数が参加して構成する)クラウドソーシングの技術だ。自動車の前方カメラを使って、地図とリアルの道路状況の違いを検知する。数千万台の自動車がREMを搭載すれば、現実のあらゆる変化がすぐにクラウドサーバー上の地図に反映される。

 素早く現実のデータを反映させるために、データ量を圧縮する。1km当たりたったの10キロバイト。携帯電話の通信ネットワークでも、全く問題にならない量だ。通常の3Dマップなら1ギガバイトはかかってしまう。

どうやってデータを圧縮するんですか?

シャシュア会長:3Dマップの基になるのは画像データだ。画素のデータを細かく送信していては膨大なデータになる。画像データを、AI(人工知能)を使って抽象化する必要がある。

 データは2つに分けて考える。1つは車線やガードレールなど、走行可能なエリアを定める境界線。これは幾何学的なパラメーターで表現できる。

 もう1つはクルマが地図のどの位置にいるかを特定するためのランドマーク。交通標識や信号、道路照明、などがそれにあたる。これはどの位置にあるかが重要なデータだ。だからランドマークのリストを作っておけば、位置データに置き換えられる。

全ての自動車メーカーと組みたい

REMの顧客メーカーは走行データをモービルアイに集約させて、できた地図を共有するということですか?

シャシュア会長:その通り。REMの概念は、全ての自動車メーカーが参加できる共同事業体を作ることだ。独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車は既に覚書にサインしている。近くさらに4~6社が新たに加わる見込みだ。全ての自動車メーカーに参加してもらいたい。全員が勝者となるシステムだからだ。(オランダのデジタル地図大手の)トムトムとも連携している。

VWやGM、そして独BMWとは自動運転に関する技術提携を結び、直近8月にも自動車部品大手の米デルファイ・オートモーティブと「セントラル・センシング・ローカライゼーション・アンド・プランニング(CSLP)」と呼ばれるシステムを共同開発すると提携しました。狙いは何でしょうか?

シャシュア会長:BMWなどとの提携は完全自動運転を目指した自動車メーカーとのパートナーシップだが、デルファイとのパートナーシップはサプライヤーのパートナーシップだ。2社で(クライアントが即座に使えるような状態で引き渡す)ターンキーシステムを作る。自動運転を開発するための大規模投資をする余裕がない自動車メーカーに提供できるシステムだ。

 CSLPは、センシング、REMを用いたマッピング、自動運転向けのAIを組み合わせる概念だ。センシングはカメラとレーダーを利用し、レーザースキャナーのような高額な機器は使わない。REMのような多くの自動車が参加するクラウドソーシングのシステムには合わないからだ。グーグルにとってレーザースキャナーは重要なセンサーだが、CSLPは違う。AIには高速道路の合流や環状交差点など複雑な環境でも使えるように深層学習で経験を積ませていく。

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「自動運転車のカギを握るイスラエルのヒーロー」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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