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イスラエル流「民軍連携」が生んだ防空システム

ミサイル迎撃成功率9割の「アイアンドーム」は企業が開発

2016年9月28日(水)

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 USBフラッシュメモリー、インスタントメッセンジャー、ファイアウォール──。イスラエルは今や世界標準となった技術を数多く生み出してきた「中東のシリコンバレー」だ。その競争力の源泉はどこにあるのか。多くの関係者が語るのがイスラエル国防軍(IDF)の存在だ。

 アラブ諸国に囲まれた小国イスラエルでは少数で多方面に防衛線を展開しなくてはならず、効率化のために技術の開発が盛んだ。IDFで技術と人脈を培った軍人が退役後に起業。世界が注目するイノベーションを巻き起こす。

 2014年夏、イスラエルでスタートアップを立ち上げた寺田彼日(あに)氏が初めて同国を訪れたその日、耳をつんざく風切り音に空を見上げると、2本の飛行機雲が空を横切っていった。パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスが放ったとみられるロケット弾。周囲のイスラエル人の後を追って建物に逃げこんだ瞬間、頭上で鳴った爆発音が空気を振るわせた。イスラエルの防空システム「アイアンドーム」がロケット弾を撃ち落としたのだ。

 アイアンドームは2011年からイスラエル国防軍(IDF)が運用を開始した短距離ミサイル防衛システム。70km以内からのロケット弾を地対空ミサイルで撃ち落とす。2014年の紛争で、迎撃成功率は9割とされている(アイアンドームについては、以下のサイトで動画が見られる)。

イスラエルの防空システム「アイアンドーム」

 開発を主導したのはイスラエルの国有企業、ラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズ。そして、中枢の指揮統制システムを担ったのがラファエルの関連会社であるベンチャー企業、エムプレストだった。

 エムプレストのシステムは多数のセンサーから送られてくる情報を解析し、飛行物体がロケット弾なのか、或いはヘリコプターや無人航空機かを判別。瞬時に数百の対応策を弾き出す。ロケット弾の場合は軌道を画像から素早く解析し、着弾点を算出。有人地域に被害が及ぶ場合のみ、撃墜命令を対空ミサイルランチャーに送る。同社のナタン・バラクCEOは「飛行物体の発見から数秒で最適な対応策が実行に移される」と話す。

発電所の警備や車両管理まで

 エムプレストはこうした指揮統制システムを、IDFのほかにもイスラエル電力公社の発電所などの警備システム向けにも開発。例えば、ガス漏れを知覚すると、警報やガス管のバルブの閉鎖、監視カメラによる状況把握、現場から最も近い技術者へ監視カメラ画像を送信、責任者への通知などが自動で行われる。アイアンドームを手掛けた技術力は国外でも注目を浴び「南北アメリカやアジアなどの数十の防衛システムに採用されている。日本でも、特に電力や水道会社などと手を組みたい」(バラク氏)。

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「イスラエル流「民軍連携」が生んだ防空システム」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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