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「着物姿で挨拶」をなくした温泉旅館女将の真意

復活のカギは「無駄なおもてなしの否定」

2016年10月12日(水)

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過去の経営難から一転、今や多い時でリピート率9割を誇る山代温泉(石川県加賀市)の老舗温泉旅館、宝生亭。復活のきっかけとなったのが、着物姿での挨拶をなくしたことだ。女将の帽子山麻衣氏が、その真意を語った。

宝生亭女将の帽子山麻衣氏(左から3人目)。夫の宗氏(左から2人目)と二人三脚で宝生亭を人気旅館に育て上げた(写真:品野 与四寛、以下同)

 宝生亭は1912年創業。2000年代の前オーナーの時代に経営危機に陥り、2009年、石川県内で複数の温泉旅館を経営する宝仙閣グループが買収した。同グループ社長の帽子山定雄氏が、経営再建に送り込んだのが次男の宗氏。その宗氏の妻が、女将の麻衣氏だ。宗氏と麻衣氏は二人三脚で業績を急回復させた。

 「お客様が望まないおもてなしを続けても、満足度は高まりません。うちは思い切ってなくしました」。帽子山麻衣氏は、復活の極意をこう話した。「そのきっかけは、私自身も嫌な思いをした、かつての経験にあります」

宿泊客から浴びた心無い言葉

 「どうせ他の客にも同じことを話しているのだろう。言われても嬉しくない」。もとは着物姿で全ての客室を回り、チェックインした宿泊客への挨拶を欠かさなかった麻衣氏。4年ほど前、こんな心無い言葉を宿泊客から浴びせられた。

 カップルが滞在する別の客室を訪れた際は、女性客から冷たい視線を浴びた。恋人の男性が麻衣氏に笑顔を向けたことを、快く思わなかったからだ。風呂上がりで化粧を落とした顔を恥ずかしがり、麻衣氏と目を合わせてくれない女性客も多かった。

 「心を込めて挨拶しても、心地よく感じてもらえないお客様が多かったのです。サービスをすればするほど、お客様との距離を感じるようになりました。それなら、いっそのことやめてしまおうと思ったのです」。麻衣氏はこうして、着物姿での客室回りをやめた。現在は大半が洋服姿だ。

 宝生亭はこうした「無駄なおもてなし」を否定する一方で、これはと思うサービスには力を注ぐ。例えば、宴席への参加だ。麻衣氏は宴席にいる全員にお酌をして酒を酌み交わし、時には一緒に歌って踊る。

 極めつけは、宿泊客を自ら名付けたニックネームで呼ぶことだ。初対面の宿泊客でも、氏名から連想して「タケちゃんマン」「ケンちゃん」など勝手に付けてしまう。「ニックネームでいきなり呼ばれたお客様は面食らいますが、同席するお客様がどっと沸きます。和やかな雰囲気の中で、ニックネームで呼ばれたお客様も何となく納得してくれます」。麻衣氏はこうして、宿泊客との距離を縮めている。「常連のお客様には、敬語を使わずに話すことも多いです」とも明かす。

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「「着物姿で挨拶」をなくした温泉旅館女将の真意」の著者

須永 太一朗

須永 太一朗(すなが・たいちろう)

日本経済新聞証券部

2003年一橋大学社会学部卒業、日本経済新聞社に入社。西部支社(福岡)で警察、企業、県政を順に担当。その後は主に証券部で日本株相場を取材。14年3月、日経ビジネス記者に。17年4月、日本経済新聞証券部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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