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調理「KADEN」の実力を試してみた

シリコンバレーで「美味しい」体験

2017年10月12日(木)

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 「アメリカなのに、美味しい…」。 日経ビジネス10月9日号の特集「新成長産業『KADEN』」では、米国シリコンバレーで次々と生まれている調理家電ベンチャーを取り上げた。彼らに共通するのは、独自のハードウエアを利用して、調理の時の「温度」と「時間」をきめ細かく数値化していること。つまり味覚の「デジタル化」だ。失礼ながら「アメリカのご飯はまずい」と思い込んでいた記者は驚いた。それらの「KADEN」を使うと、もれなく美味しいものが完成したからだ。記者の体験を紹介する。

自分で入れるより美味しいお茶

 8月末、米国シリコンバレーのマウンテンビュー。団地のような建物の一部屋に、ありえないほど美味しいお茶を出してくれるCEOがいた。お茶の抽出装置「Teforia(テフォリア)」を開発した同社の創業者、アレン・ハン氏だ。

 「玉露は55度のお湯で、9分かけて抽出する」。
 ハン氏は真っ白な装置の上部に、カプセルをかざした。中には茶葉が入っている。ふた部分に内蔵してあるRFIDタグには、その茶葉に適した抽出方法が記録されており、装置がその情報を読み取る。ハン氏はカプセルから茶葉を出して装置にセット。ボタンを押すと、タンクに入った水の温度が上がり始めた。適切な温度になったところでお湯が噴出されてお茶の抽出が始まる。

左:カプセルに茶葉を封入して販売 右:茶葉ごとに最適なレシピを自動で選択して抽出

 ハン氏はノキアやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトといったIT企業でキャリアを積んだ工業デザインの専門家だ。自らデザインを手掛けて開発したこの装置をテフォリアと名付けて2016年に発売した。ボタンが1つしかなく、真っ白でシンプルなデザインは「玉露の緑など、お茶本来の美しい色や、茶葉が広がっていく姿を楽しんでもらうため」という。

  テフォリアは、お湯を茶葉にかける際の圧力やタイミング、温度などを制御して、それぞれの「レシピ」に沿ってお茶を抽出できるユニークな装置だ。カフェインを抜くこともでき、ハードウエアとしての特徴も際立つ。だが、ハン氏は「1番大事なのはエクスペリエンス。テクノロジーは第2」と哲学を語る。お茶を抽出するプロセス自体を楽しんでほしいという。なるほど、抽出されるお茶を見ていると、美しい。人類が育ててきた文化を感じる。

自分で入れるより美味しいお茶が完成する

 話していると玉露の抽出が完了した。CEO自ら、湯のみに注いでくれる。口に含むと、味は苦いが苦すぎず、抹茶のような香りが鼻を抜けた。自分で入れるより確実に美味しい。「お茶ってこんなに美味しかったんだという感じ」と取材メモに残っている。

 玉露の抽出時間は9分だが、ダージリンは5分。同じ茶葉で2煎目、3煎目と入れる場合のレシピはそれぞれ異なるという凝りようだ。茶葉ごとのレシピは、ハン氏が10人ほどの専門家と協力して考え、既に100種類以上あるという。

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「新成長産業 KADEN」の目次

「調理「KADEN」の実力を試してみた」の著者

庄司 容子

庄司 容子(しょうじ・ようこ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社に入社し、社会部、横浜支局を経て企業報道部へ。化学、医療、精密業界、環境などを担当。2017年4月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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