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正社員になりたくない、労働市場のニーズの変化

衣料大手のストライプ、全員正規採用を廃止に

2016年10月25日(火)

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 カジュアル衣料品店「アースミュージック&エコロジー」を運営するストライプ・インターナショナル(旧クロスカンパニー)は創業以来約20年続いた「全員正社員採用」を中止し、パート・アルバイトの採用を始めた。地域や職種を限定せずに働いてもらう代わりに安定した会社人生を保証する「日本型正規雇用」を求めない学生が増え、拡大路線を続けるハードルになっていたためだ。地域限定正社員の採用など労働契約の更なる多様化にも取り組んでいる。

 「誰もが安定した終身雇用を望んでいる。そんな価値観が幻想だとようやく分かった」。ストライプ・インターナショナルの神田充教CHO(最高人事責任者)はこう語る。昨年度、創業から約20年間続いた「全員正社員採用」をやめた。

 最初に異変を感じ取ったのは、新サービスの研究のため若者とのミーティングをライフワークにしていた石川康晴社長だった。「正社員は責任が重すぎる」「インターネットに情報が溢れすぎていて、どこが本当に良い会社なのか判断がつかない。お試し採用の期間がある会社を受けたい」。就職を控えた学生からこんな声を聞くようになった。

 気付けばはっきりと数字にも表れるようになっていた。年間約100店の出店という拡大路線を採るストライプにとって、人員確保は至上命題。しかし、年700~800人の新規採用枠を設けても8~9割しか人手が集まらない。「優秀な人が集まらないというような贅沢な悩みではない。単純に人が来なくなった。」。神田CHOは振り返る。

 店舗は慢性的に人手不足になり、必要人員の8割で切り盛りせざるを得なくなった。売上高も利益も順調に伸びたが、現場の不満は限界に達していた。2014年末に実施した社員満足度調査で人手不足を訴える声が最多数に上ったことが最後の決め手となり、ストライプは学生や主婦らのアルバイト・パートの採用を始めた。

 社内からは「全員正社員という理念に共感したから入社したのに」と悔やむ声も多かった。正社員に比べパート・アルバイトは接客スキルが劣り、生産性も低い傾向にあることも気になった。

パート・アルバイトの採用で、正社員の生産性が向上した

 しかし1年後に店舗の人員充足率が100%に回復、正社員の離職率は半減した。優秀な学生バイトを正社員として新卒採用するという循環も生まれた。現在、労働力の28%をパート・アルバイトが占める。「正社員の生産性が上がったので、パート・アルバイトが増えても店員1人当たりの生産性は制度変更前と変わらなかった。店舗拡大を続ける足場が固まった」。神田CHOは手応えを感じている。

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「正社員になりたくない、労働市場のニーズの変化」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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