• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「機能する現場」はもはや妄想

人材育成の失敗を学習院大学の守島基博教授に聞く

2017年11月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

古き良き時代に育ったトップが現場を壊す

現場力の低下を経営側が認識していないのでしょうか。

守島:そうだと思います。1つの理由は、今の経営層の方々というのは、昔の現場で育った人たちだということです。現場でお互いにコミュニケーションをきちんと取り、それぞれの持ち場にリーダーのような人も大勢いて、自然な階層構造ができていました。仲間同士で業務を教え合う感覚も比較的強かった。このような昔の「機能していた現場」観を前提にプロジェクトを組んでしまっているわけです。

 海外プロジェクトでの苦戦も目立ちますが、やはりトップの認識不足が影響しています。現在の経営層の多くは、あまり海外での経験がありません。従って、現場はどこもこういう風に機能しているはずだ、という一種の「妄想」にとらわれています。昔のイメージに引きずられ、現場に大きく依存しているのです。

競争環境は厳しくなる、一方で組織としての人材育成は機能していない、となると、苦しい状況ですね。

守島:日本の多くの現場で起こっていることは、コスト管理や進捗管理がきつくなる中で、余裕を持って物事を学ぶ時間がなくなっている、さらには自由な発想が出てこなくなる、という連鎖です。現場の機能を阻害する方向です。

 昔がよかったと言うつもりはありませんが、ワーク・ライフ・バランスや多様な勤務形態など、働くことへの姿勢や価値観の幅も広がっており、職場のコミュニケーションも簡単ではなくなりつつあります。

 バブル経済の崩壊後に採用が一時かなり絞られ、いびつな年齢構成になってしまったのも響いています。教える側と教えられる側で10歳くらいの差が生じてしまうと、経験上、現場の人材育成や技能伝承が機能しなくなります。下の人は遠慮して質問しにくいし、上の人は逆に、経験の浅い人は何が分からないのか、その辺のツボを忘れてしまいます。

進捗管理は本来、プロジェクトが遅れないようにするのが目的ですが、皮肉にも現場の余裕をなくす一因になっていると。

守島:今の日本企業は人繰りに余裕がなく、プロジェクトを組む際に、必要人数ぎりぎりしかあてがいません。経営学には、組織の余裕を意味する「組織スラック」という言葉があります。非効率との見方もできますが、スラックは何か環境変動が起きた場合の「バッファー」の役目を果たします。

 ところがコスト管理の名目でバッファーがどんどん削られた結果、どの現場もきつきつの状態で動いています。これではちょっとしたトラブルで全部が崩れかねません。さらにいえば、そのしわ寄せが現場の中間管理職に向かっている面も無視できません。 

コメント7件コメント/レビュー

まるで当社の実情を見たかのような内容にちょっと驚きと
日本の現場力は徹底的な効率化?とコストカットによって
既に削がれ疲弊したんのですね。
もはや先輩たちの遺産は食いつぶした感があります。(2017/11/15 13:40)

「失敗の法則」の目次

「「機能する現場」はもはや妄想」の著者

寺井 伸太郎

寺井 伸太郎(てらい・しんたろう)

日経ビジネス記者

2002年、慶応義塾大学を卒業し、日本経済新聞社に入社。東京や名古屋での企業担当などを経て、直近は決算を取材する証券部。15年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まるで当社の実情を見たかのような内容にちょっと驚きと
日本の現場力は徹底的な効率化?とコストカットによって
既に削がれ疲弊したんのですね。
もはや先輩たちの遺産は食いつぶした感があります。(2017/11/15 13:40)

「妄想」と言われようが、現場は正しい。 現場に権限移譲させて切り盛りできる優秀な人物もいないことはない。
しかし、昔、現場で優秀だった人が管理職になって、何をやっているかというと、管理しようとしている。それで、今、現場で優秀な人は、その管理職にあげるリポート作りに追われて、肝心な現場の仕事をできずにいる。だから現場力が失われたように見える。
問題が起こって、Corrective Actionのリポートがでて、次にPreventive Actionのリポートが出て、そしてImplementation Planが出て・・・
それが完了しないうちに、次の問題が起こる。
いつから現場はリポートをつくる場所になったのだろうか?
伝書バトの中間管理職はいらない。彼等がすべての生産効率を下げ、ビジネス機会逸失をつくっている。(2017/11/15 03:16)

 "現場"なんて、過去の延長でしか考えられないもので、革新は自己否定になるから基本NG、カイゼンが関の山。 また、"現場"の意見を聞くなんて、設計者・経営者が現場に丸投げしているだけ。 海外メーカーでは、日本企業より"現場"力の劣るラインを使って、工業製品を製造・販売し、儲けも出している。 

 "現場"力に期待できない海外の設計者は、"現場"でのトラブル・リスクを想定した設計できる。つまり、日本の設計者は海外の設計者に負けているって言うこと。 経営者も然り。 (2017/11/14 14:36)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長