楽天は英語公用化でどう変わった?担当者に直撃

海外不振は公用語化失敗ではない。今はノウハウ外販も

  • 寺岡 篤志
  • 2017年12月04日

 2010年に英語公用語化を宣言し、第一次英語ブームの口火を切った楽天。全社員へTOEIC800点取得を要求し、国内向け部署でも英語会議を義務化するなど、その施策は他の公用語化企業と比べても最も急進的な内容だった。

 あれから7年で社内はどう変わったのか、公用語化の果実は得られたのか。社内の制度設計に関わり、現在は公用語化のノウハウを生かした教育事業などに携わる葛城崇・教育事業部ジェネラルマネージャーと、葛城氏の後任として英語推進を担う周藤俊昭・人材開発課シニアマネージャーに話を聞いた。

楽天の公用語化を推し進めた葛城崇氏(左)と、葛城氏の後任である周藤俊昭氏(写真:陶山勉)

2010年から英語公用語化の準備を始め、12年から実施。これまでの成果を聞かせてください。

葛城崇・教育事業部ジェネラルマネージャー(以下、葛城):10〜13年に英語公用語化の推進役を務めました。宣言から7年経って、会社の一番の変化はダイバーシティ(多様性)だと思います。公用語化前は国内の外国人比率が2%。今は20%を超え、エンジニアでは50%近くになります。世界70カ国以上から社員が集まってきていますが、エンジニアでいえばインド、中国が多い。両国の有名大学から優秀な学生を新卒採用できるようになりました。

 個人レベルでの大きな変化は、キャリアの選択肢が広がったということでしょう。現在TOEICの点数は、帰国子女などを除いた平均で830点超。海外の展示会や研修の派遣にほぼ全員が参加できるようになっています。海外赴任も身近になったし、海外子会社の社員も英語で仕事ができるので日本に来やすくなりました。

次の一手は異文化理解

どんな課題が残されていますか。

葛城:TOEICはあくまで一つの目安です。基礎力をつける段階が終わり、今後は具体的に全世界でビジネスを加速させていく段階に入っていきます。そのための準備として、異文化理解を深める研修も10月から新たに始めました。

周藤俊昭・人材開発課シニアマネージャー:異文化理解の研修は専門の外国人講師を呼び、ベーシックとアドバンスの2種類の講座を開いています。研修で伝えたいことは、外国人との違いを理解し、受け入れるということです。文化の違いは肌感覚でわかっていることもあるでしょうが、体系だった学問として学んでもらいます。

 ベーシックでは「日本人は行間を読み多くを語らない」といった国毎のコミュニケーションの特徴を学び、自身がどの文化に近いかを考察します。その上で、文化の違いを乗り越えてうまくコミュニケーションをとるアイデアを出し合う。アドバンスでは、ベーシックの内容を踏まえ、実際に業務で抱えている問題の解決方法を議論してもらいます。

英語塾の開講や英語アプリの開発にも取り組んでいます。外部企業へ公用語化のノウハウを伝授するコンサルティング事業も始めていますね。

葛城:ダイハツ工業などにコンサルサービスを導入していただいています。クライアントの数は10社ぐらいですね。公用語化を既に宣言している企業、一部の部署だけで実験的に導入しようという企業、取り組みの方法は様々です。

 英語は学習時間が大事です。毎日15分でもいかにコツコツやるか。いかに全員でやりきるか。英語学習を歯磨きのようにやらなくては気持ち悪い生活習慣にしてしまう。そのノウハウを伝えたり、制度設計のサポートをしたりしています。

楽天流の英語推進のポイントは何でしょうか。

葛城:まず、グローバルな部署はもちろんドメスティックな部署でも関係なく対象にしたこと。社員それぞれの学習量や到達レベルを見える化して、経営陣まで共有したこと。そして、人事部でトレーニングを考案するなど全面的なサポートをしてムーブメントに昇華させたことだと考えます。

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