火曜日の朝に、スマートでエスプリの利いたコラムを読んだ。アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がメジャーリーグで始球式を務めた時のエピソードだ。
ブッシュ大統領がヤンキースタジアムで始球式を行ったのは、2001年10月。あの同時多発テロ(9月11日)が起こった翌月のことだ。
米大統領は世間に畏怖の念と羞恥心を持っていた?
コラムは、その時のブッシュ大統領とヤンキースのスター選手、デレク・ジーター内野手とのやり取りを紹介している。「防弾チョッキを着ていて投げにくいので、ピッチャーズプレートより前から投げたい…」と言うブッシュ大統領にジーターが助言する。
「ブーイングされますよ」
すると大統領は、こんな状況の中で始球式をする私に、それでもブーイングするのかと怪訝(けげん)な表情を浮かべたそうだ。
そこでジーターが言う。
「それがニューヨークなんです」
果たしてブッシュ大統領は、本番では正規のプレートから投げてストライクを奪ったそうだ。
アメリカの大統領が世間の視線に対して、畏怖の念と羞恥心を持っていた頃の、遠い昔話である…とコラムは結ぶ。(16日の読売新聞「編集手帳」)
アメリカの大統領には畏怖の念と羞恥心が欠けている…かどうかについてはここでの言及を避けるが、コラムの主張は厳しくありながらも、その物言いは品格の中にある。
語り過ぎては…
辛辣過ぎては…
詳細過ぎては…
品位を失いすべてが台無しになることがある。
うーん、あれは美談にしても良いんでしょうかね……スポーツ科学的には相当な重症なので周囲が強制的に休養させるべきなのではと思いますが、誰も疑問に思わないのでしょうか。(2017/05/22 11:32)