4年後に全大学がAO入試化、経済格差を後押し?

従来型の入試で養われた計画性、探求力が犠牲になる恐れ

 2020年度の大学入試(2021年春施行)からセンター試験が廃止され、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(以下、「希望者テスト」と呼ぶ)が導入される。

2020年度の大学入試からセンター試験が廃止され、代わりに記述式の問題を含む希望者テストが導入され、二次試験はAO入試化される見通しだ。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 また、国立大の二次試験(個別選抜試験)では、学力テストだけでなく、小論文、面接、集団討論、プレゼンテーション、調査書(いわゆる内申書)、活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書、資格・検定試験などの成績、各種大会などでの活動や顕彰(けんしょう)の記録、そのほか受検者のこれまでの努力を証明する資料などを活用するように明記されている(それどころか、二次試験では「希望者テスト」の点を評価の対象にしろとは書いてあるが、学力テストを使えとは書いていない)。この方針を受け入れる大学に予算的な措置をつけるということであるから、やらない大学は恐らくないとすると、すべての大学がAO入試化することになるだろう。

希望者テストの複数回受験、段階別評価は見送りに

 こうした方針は、中央教育審議会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実施に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(2014年12月22日)という答申(今後何度も出てくるので、以下「答申」と呼ぶ)に盛り込まれている。

 実は、この「答申」はかなりラジカルなもので、1点刻みの学力にこだわることを否定するために、TOEFLや米国版のセンター試験と言えるSATのように、「希望者テスト」を複数回受験できるようにする。加えて、試験結果は段階別評価で学校に送る(要するに91点でも100点でもAという形で、大学に成績を知らせる)ことなども提言されていた。要するにミスで点を落とすのは学力がないわけでないし、そういうものにこだわるから本物の学力がつかないという発想である。

 その後、2016年3月31日には、この答申を具体的にどういう形で実現するかについて、文部科学省の諮問会議である「高大接続システム改革会議」が最終報告(以下「最終報告」と呼ぶ)を公表した。

 この「最終報告」では、「希望者テスト」の複数回受験や1点刻みでない採点は見送られるなど、「答申」の方向性は一部改訂された。60万人もの受験生が受ける現状で、そこまでの改革は無理という現実的な判断と言ってよい。しかし、「希望者テスト」での記述式試験の導入や、二次試験をAO入試化する方針など、「答申」の基本的な方向性は継承された。

バックナンバー

著者プロフィール

和田 秀樹

和田 秀樹

精神科医

精神科医。『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(自己心理学)などが専門。

閉じる

いいねして最新記事をチェック

アクセスランキング

記事のレビュー・コメント

レビューを投稿する読者レビュー

この記事は参考になりましたか?

この記事をお薦めしますか?

レビューを送信

コメントを書く コメント0件

コメント入力フォームへ