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「損の影響は得の約2倍」、経済心理学のススメ

米国では常識! 消費者は常に合理的とは限らない

2017年5月2日(火)

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 前回の記事では、心の治療が日本では軽視されているが、もう少し気軽に精神科医の門をたたいたり、カウンセリングを受けたりすることで、多くの人の命や心の健康が守られるという話をした。

 心の病のない人について一般的な心理傾向を研究するのは、実験心理学(カウンセリングなどを行うのは臨床心理学と呼ばれる)のメインテーマである。また精神医学でも、心の健康を考えるために、正常な心理についての研究はある程度行う。ということで、例えば消費者や従業員の心理を知るために心理学の知見を使えるケースは少なくない。

消費者や従業員の心理を知るためにも心理学は有効だが、日本では活用が進んでいない。

 ところが、日本では企業の経営のアドバイスや、消費を回復させるための政策の審議会、そのほか外交を行う際の参考意見聴取など、心理学が使えそうな問題で心理学者や精神科医が呼ばれることはまずない。こうした点でも、日本では精神医学や心理学が軽視されていると感じている。

心理学は経済論議にも使えるのだが…

 もちろん、私もそういう経験がないし、テレビなどで精神科医としてコメントを求められるのは、必ずと言っていいほど、何かの事件が起こって容疑者のパーソナリティー、心理、心の病などがテーマになる場合だ。しかし、テレビで話題になる事件を起こすような人は、まさに何万人に一人、何十万人に一人の異常な心理の持ち主だ。世間で怖いようなイメージを持たれてしまいがちな統合失調症のような心の病があったとしても、実際に殺人事件を起こすのは年間換算で1万人に一人もいない。異常な事件を起こす異常な人の心理は、こちらの想像を超えるようなことも多いし、むしろ何をしてもおかしくないとさえ言える。

 一方、一般の人の心理や行動予測については、色々な実験の結果が出ているので、ちゃんと勉強さえしていれば、はるかにまともなことが言えるし、そこそこ当てはまるような予想が可能だ。

 それにもかかわらず、消費や景気をテーマとするテレビの討論番組などがあっても、出演するのは、心理学が理論に組み入れられていない古いタイプの経済学を学んだ学者や、恐らく心理学の知識がろくにないエコノミスト。そして大衆の心理を代弁するのは、実験心理学で代表される一般人とはちょっと違う心理を持ちがちなタレントなどだ。

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「「損の影響は得の約2倍」、経済心理学のススメ」の著者

和田 秀樹

和田 秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

精神科医。『和田秀樹こころと体のクリニック』院長。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(自己心理学)などが専門。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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