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繰り返すな品質不正 製造業が今やるべきこと

日産、神鋼、三菱マテリアルの蹉跌から学べ

2018年1月9日(火)

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 日経ビジネスは1月8日号の特集「甦れ!ニッポンの品質」で、日産自動車、神戸製鋼所、SUBARU、三菱マテリアル、東レなど日本の製造業で相次ぐ、品質関連の不正を取り上げた。どこに問題の本質があるのか。課題を克服するためにはどのような対応を急ぐべきなのかなどを、不祥事を起こしたメーカーの関係者、専門家、品質に力を入れる企業の事例から迫った。日経BP社の技術者向け専門誌「日経ものづくり」などの協力も得た。オンライン連動企画の第1回では不正の背景と、日本の製造業が何をすべきなのかを探る。

 どうして品質関連の不正がここまで相次ぐのか──。日産自動車やSUBARU(スバル)の完成検査の不正、神戸製鋼所、三菱マテアリル子会社、東レ子会社の品質データ改ざんなど、昨秋以降、問題が続々と発覚している。

 今回の特集のために、さまざまな企業の関係者や専門家を取材する中で、筆者がとりわけ気になったのが企業の倫理観だ。

 「法律に違反しても品質には問題がない」「ちょっとくらいの不正なら大丈夫だろう」「契約で定められた基準を下回る製品を出荷しても、安全性には余裕を持って設計されているのでトラブルは起きない」。このような意識が強く感じられた。

 日産自動車やSUBARUの完成検査の不正では「資格を持った検査員による完成検査を義務付けるのは時代遅れ。無資格者が検査してもクルマの品質には全く問題がない」と語る関係者がいた。

 完成検査は自動車メーカーが国家資格取得者による車検を代行する仕組みである以上、有資格者による検査が法律で定められている。品質に問題がなかったとしても、両社は明らかにコンプライアンス意識が欠如していた。

EV(電気自動車)「リーフ」などを生産する日産自動車の追浜工場の検査ライン(神奈川県横須賀市)

 素材メーカーによる品質データの不正も同じ構図が当てはまる。

 神戸製鋼の調査報告書は「クレームを受けなければ、顧客仕様は守らず、数値を書き換えても問題ない」という意識が社内にあったとする。三菱マテリアル子会社の三菱電線工業の調査報告書も、不合格品が出た際に、「これくらい(の不適合)であったら合格としようか」と相談したり、開発担当者から「機能上問題ない」という意見があれば、顧客に無断で合格させたりしていたと指摘する。

 素材メーカーの不正の背景には、日本メーカー同士のあいまいな取引慣習がある。それが「特採(特別採用)」だ。いったん不合格とされた製品を、顧客の承認を得るなどして、使用可能にすることを指す。

 データ偽装に走った各社はこの制度を悪用。顧客向けには品質データを基準に達しているかのように改ざんした上で、社内では特採扱いにしていた。

 「少しなら品質基準を下回っても大丈夫」とメーカーが考えるのは、なぜなのか。メーカー同士が契約する際に決めた品質は、設計上、製品安全に必要な水準を大幅に上回るケースが一般的だ。産業機械などの場合、繰り返し負荷がかかる部品などは、必要とされる強度の3~10倍程度で設計されている場合が多い。

 「安全率」と呼ばれるこの基準は業界によって異なっており、例えば、自動車では1.6倍を目安に設計されてきたとされる。

 余裕を持った設計になっているという前提があるからこそ、神戸製鋼などの素材メーカーは、「少しくらい品質基準を満たさなくても問題ないと考えてデータを書き換えた可能性がある」(品質管理に詳しいコンサルタント)。

 “過剰品質”ともいえる高い安全率は、メーカーの甘えにもつながる。納期が迫る中、ちょっとデータを改ざんしても問題は起きないだろうと製造現場は考え、不正に手を染める。一度始めると歯止めが利かなくなり、データの修正を繰り返す中、偽装は常態化していった。

 「ある一線を一度でも越えてしまうと、罪、問題意識の敷居が非常に低くなる。それが個人であっても、部署であっても判断するのは人間だ。低くなった敷居は時間と共に無いに等しくなる」。一連の品質問題を受けて、日経BP社の技術者向け専門誌「日経ものづくり」などが実施したアンケートではこんな回答があった。

コメント10件コメント/レビュー

日産、スバルの問題と、素材メーカの品質データー問題とは別物であると主張する意見がここだけでなく巷一般的にあるが、共に「ルール軽視、遵法意識の低下」問題である。

日本全体でこのような傾向が強くなっていることに危機感を覚える。
まずは小さな「違反」からきちんと正していくことが必要だろう。
現状は、ブロークンウィンドウ現象の末期に近いのではないか。

また、「過剰品質」に逃避したがる層がいることも問題。
何でもかんでも過剰品質を唱えて責任を放棄したがる輩がいるが、過剰かどうかを正しく判断もせずにルールを無視してよい道理がある筈がない。
厳しくルールを守っているメーカーが居る以上、ただの戯言にしか聞こえない。
「そんなメーカーはない。どこもやっている」という人は、不幸なことにそのようなメーカーしか知らないだけだ。(2018/01/15 10:56)

「甦れ!ニッポンの品質」の目次

「繰り返すな品質不正 製造業が今やるべきこと」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日産、スバルの問題と、素材メーカの品質データー問題とは別物であると主張する意見がここだけでなく巷一般的にあるが、共に「ルール軽視、遵法意識の低下」問題である。

日本全体でこのような傾向が強くなっていることに危機感を覚える。
まずは小さな「違反」からきちんと正していくことが必要だろう。
現状は、ブロークンウィンドウ現象の末期に近いのではないか。

また、「過剰品質」に逃避したがる層がいることも問題。
何でもかんでも過剰品質を唱えて責任を放棄したがる輩がいるが、過剰かどうかを正しく判断もせずにルールを無視してよい道理がある筈がない。
厳しくルールを守っているメーカーが居る以上、ただの戯言にしか聞こえない。
「そんなメーカーはない。どこもやっている」という人は、不幸なことにそのようなメーカーしか知らないだけだ。(2018/01/15 10:56)

QCサークルは残業代の未払いが問題なっていましたが、明らかに業務上の活動でありながら、「個人の自主的活動である」という甘えが、日本の品質を支えていたとしたら片腹痛い話。業務活動に対して正当な対価を払えない構造に問題があったということ。

データの書き換えについては、「うまくやれ」という暗黙の指示があったからこそ続いていたのでは。品質の低下は許さない、納期の遅れも許さない、という「コミットメント」が行きつき先は「偽装」しかあえない。「特採」も昔は許されたのでしょうが、「特採比率ゼロ」なんて目標が納入先の購買部門目標にでもなっていたとしたら、サプライヤーはそれに従うしかない。

自動車の完成検査は、むしろ役所の不作為が問題なので、データ偽装と同列に論じるべきではない。そもそも車検場で検査装置の設定が間違っていたという話の方が、よほど問題が大きいはずだが、それで車検場の業務が停止になった訳でもない。身内に甘い役所の小芝居が鼻につく。(2018/01/13 11:15)

「品質」問題ではなく、「仕事の質」問題。「経営サイクル」の問題と捉えるべきではないだろうか。売り上げや利益からスタートする経営のサイクルから考え方を脱出する必要があると思う。

売り上げや利益は、「仕事の質」によってどれだけの価値のものを創り得たか。その結果に過ぎない。(良い仕事ができたかどうかの証拠)
自分たちの知恵や働き方の工夫で価値の高いより良いものを創る。つまり機能や生産性の改善をおこなうことが主体となってコスト改善も可能となる。その成果結果が顧客の期待価値に追従した製品になるから売れる。

その結果で売り上げ、利益確保ができれば企業の社会貢献度も社員の生活も向上していく。そのことで更に社員もモチベーションは上がり、より「仕事の質」も高まっていく。こうした正のサイクルで経営というものを捉える考え方にならなければ、永続的企業にはなれないと思う。

経営者の役割は、企業という組織を構成する社員の考え方を誘導することが第一の役割と思う。(2018/01/12 15:36)

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