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バットを研究しても名打者にはなれん

第3回:商売の原理原則

2016年5月9日(月)

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靴下専門店を手掛けるタビオは20年以上前に、工場から店舗まで一気通貫の生産・販売管理システムを確立。靴下を売れた分だけ作る独自の仕組みを実現した。「システム構築には協力工場と志を一つにすることが欠かせない」と越智直正会長は説く。

 もう昔の話です。あるイベントに講師として呼ばれたら、題目が「SCMについて」と書いてありました。僕は戸惑いました。だから主催者に質問したんです。

 「そこに僕の名前が書いてあるけど、僕が話すテーマとは違うのとちゃいますか。今日は靴下の話をしてくれと言われて来てまんねや。『について』は分かるけど、その前の英語の意味が分かりません」

おち・なおまさ
1939年愛媛県生まれ。68年にダンソックス(現タビオ)を創業し、靴下の卸売りを始める。82年に小売りに進出。品質の高さと独自の生産・販売管理システムでタビオをトップブランドに育てた。2008年から会長(写真:太田未来子)

 そしたら主催者が「それはサプライチェーン・マネジメントでございます」と答えた。「サプライチェーン・マネジメントって何ですか」と聞くと、「ダン(現タビオ)さんのところの生産・販売管理システムのことです」と言う。

 僕は激怒しました。「あんたら、人が考えたシステムに勝手に名前を付けるなんて失礼やないか! よく考えてみい。自分に子供ができて喜んでいるところに隣のおっさんが飛び込んできて、名前を付けたらどんな気がするか。何がサプライチェーン・マネジメントや。あえて名付けるんやったら、うちのは、サムライチェーン・マネジメントじゃ」

絶対に当たらない販売予測

 僕がそこで、なぜ「サムライ」と言ったのか。それは、こうした仕組みを構築したからです。

 靴下業界では一般に、春に秋冬物の生産を工場に発注し、秋に翌年の春夏物を発注します。反対のシーズンに企画発注するのですから、販売数を予測しても当たらん。業界動向や消費者のトレンドなど、どんなに情報をかき集めたところで、ものの見事に生産数と販売数は一致しません。

 昔は僕も同じことをしていました。けれど売れ残った靴下を正価の半額くらいで販売すると、利益を食ってしまう。何より自分が心血注いで作った靴下が二束三文で販売されることがつらかった。

 売れた分だけ、作る。そんな仕組みが作れないものか。こう考えて生産管理の勉強会に出かけ、本を読み、実行に移そうとして何度も失敗し、試行錯誤の末に導入したのが、現在につながる生産・販売管理システムでした。各店舗と協力工場、タビオの本社と物流センター、この4者で店舗の販売情報を常に共有する仕組みです。

 今では、店頭で商品が売れてから、工場で生産して店頭の棚に補充するまで、最短で1、2日です。必要なものをすぐに作って店舗に置けば、売り逃すことも売れ残ることもありません。生産数と販売数の差異はごくわずかです。

 うちが開発した生産・販売管理システムは評判を呼び、一時期は“IT企業”と騒がれました。当時は見学や取材に来る人も多く、そのとき僕はいつもこう言っていたんです。

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「タビオ会長 越智直正の「靴下屋」が靴下を履かない理由」のバックナンバー

一覧

「バットを研究しても名打者にはなれん」の著者

越智 直正

越智 直正(おち・なおまさ)

タビオ会長

1939年愛媛県生まれ。68年にダンソックス(現タビオ)を創業し、靴下の卸売りを始める。82年に小売りに進出。品質の高さと独自の生産・販売管理システムでタビオをトップブランドに育てた。08年から会長

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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