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「総合居酒屋」の失速なんて関係ない

個店がお客を呼べるのは人と人のつながりができるから

2016年12月19日(月)

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宇野隆史社長率いる、居酒屋運営の楽コーポレーション(東京・世田谷)には、独立して自分の店を持ちたい若者が続々と集まる。東京・町田で2年半ほど前に着任した新店長が1年ほどで月商を約1.5倍に伸ばしたという。その秘訣を聞いてみると……

 居酒屋を展開するある大手企業の株主総会で、「総合居酒屋はブームが終わっている」って話が株主から出たらしい。オレも、よく周りが「居酒屋は、もうなんでもありの店は難しい。専門化しないとダメだ」なんて言っているのを聞く。でもさ、「総合居酒屋」そのものがダメになっているのかって言ったら、オレはそうじゃないと思うんだよね。だって、おやじとおふくろさん2人でやっているような小さな温かい居酒屋は、昔から変わらずいつも賑わっていて、若い人たちも大好きなわけじゃない。そんな店では、肉豆腐も焼うどんもおでんも、なんでも食べられる。個店の総合居酒屋ぐらい強い店はないってオレは思うんだ。

 うちは若い子たちが独立に向けて商売を勉強するための店だ。そういう子たちに、絶対に繁盛して、一生楽しく食べていける店ができるぞ、ってオレが言えるのはずっとやってきたなんでもある居酒屋なんだよね。だって、うちの子たちが、自分でためたお金で最初に出店できるのは、三流の場所。だったら、お刺し身があって、おでんがあって、ペペロンチーノまで食べられる店のほうが、お客さんにとって使い勝手が良くて、リピートしやすいでしょ。

楽コーポレーションが東京・町田で運営する「まんま屋 汁べゑ」。新店長の手腕もあり、月商を伸ばしている(写真:大塚千春、以下同)

 外食企業ともなると、何人もの社員で次のシーズンのメニューを考えて、それをきれいに写真に撮って分厚いメニューやポスターにする。すごいことだと思うけど、八百屋の店先で「あ、里芋が出てる」なんて言って、その日のメニューを考えるというのが個店の商売。「これ、みちこちゃんが好きだったな」なんてお客さんの顔を思い出しながら、料理を考える。そうやって作った料理は絶対お客さんに喜んでもらえるし、店のファンになってもらえる。企業としての居酒屋にはそんな自由がないわけで、かわいそうだなぁって思う。

「楽コーポレーション 宇野隆史社長の「若者よ、一国一城の主になれ!」」のバックナンバー

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「「総合居酒屋」の失速なんて関係ない」の著者

宇野 隆史

宇野 隆史(うの・たかし)

楽コーポレーション社長

78年、楽コーポレーションを設立し、東京・経堂に居酒屋「くいものや汁べゑ」などを開く。88年、株式会社に改組し、社長に就任。現在は、首都圏に約20店を展開する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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